ハーブとは、人の暮らしに役立つ植物のことです。
薬草として、料理の薬味として、またポプリや入浴剤など香りを楽しむ香草として、さまざまな楽しみ方ができるのがハーブです。
使い方を考えて、育てたいハーブを選んでみましょう。
今回は、たくさんあるハーブのなかでも、オススメのハーブを5つご紹介します。
赤や黄のダイナミックな花を咲かせる「デイリリー」
ユリに似た花を咲かせるキスゲ属の園芸種です。
別名はヘメロカリスで、和名はキスゲ、ユリ科の多年草となります。
この仲間には古くからカンゾウと呼ばれる薬草があり、花や根に利尿・消炎、止血作用などの薬効があるとされています。
デイリリーという名前の通り、花は1日花で、夜にはしぼんでしまいます。
育て方ですが、日当たりと水はけのよい場所であれば、多少乾燥気味、多湿気味でも左右されず、土質を選ばずに育ち、放置していても生育は旺盛です。
花を食用にする場合は、開花直前のものを摘み取り、乾燥させて使用します。
2~3年に一度、株分けをして株を更新します。
利用法ですが、黄色、オレンジ色、赤色など色鮮やかな花を乾燥させて食すか、サラダの彩りとして生食できます。
「金針菜」とよばれる中華料理の材料は、数種のカンゾウの蕾を乾燥させたもので、鉄分が多く含まれ、貧血によいとされています。
やわらかな若葉は食用に「ドロップワート」
メドウスイートの近縁種で、メドウスイートよりも小さく育ちますが、花は大きめです。
別名はロクベンシモツケソウで、バラ科の多年草となります。
蕾は薄いピンク色をしていますが、花はクリーム色、淡い香りがあります。
育て方ですが、半日かげとなる湿った場所と、水はけのよい肥沃なアルカリ性の土を好みます。
庭植えでは、半日かげを選んで植えつけ、根元の土が乾燥しすぎないようバークなどで根元を覆うとよいでしょう。
コンテナ植えの場合は、砂質の土を用いて水はけをよくし、半日かげで管理します。
春か初秋にタネまき、株分けで殖やします。
利用法ですが、コンテナ植えや寄せ植えなどのガーデニング素材として、またドライフラワーに適しています。
花は房状に咲くクリーム色の小花で、ドライフラワーに利用できます。
開花前の若葉は、サラダとして食べることもできます。
若葉はキュウリのような香り「ボリジ」
南ヨーロッパの乾燥した荒れ地に自生するハーブです。
別名はスターフラワーで、和名はルリジシャ、ムラサキ科の1年草となります。
可憐な青い星型の花や葉に、キュウリのような香りがあり、抗うつ・利尿、鎮静・鎮痛、発汗作用があるとされています。
花は星型の花がユニークで、紫、白の花色があります。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけのよい土を好みます。
よく日の当たる場所ならば丈夫に育ちますが、どちらかというとアルカリ性の土が適しています。
植えつける場所の土には、あらかじめ苦土石灰を混ぜ込んでおきましょう。
コンテナ植えの場合は、底に鉢底石を多めに入れて、水はけをよく保ちます。
過湿が苦手なので、庭植えの場合は、夏に極端に乾燥したとき以外は、水やりの必要がないほどです。
こぼれダネから、自然に殖えていきます。
利用法ですが、星型の花は砂糖漬けにしてケーキの飾りに、生をサラダの彩りにしてもよいです。
花やハーブティーは、レモン汁などが加わると、ピンク色に変化して目を楽しませます。
やわらかな若葉はサラダに、また、ティーにすると鎮痛、解熱効果があります。
苗は、日当たり、水はけのよい乾燥した場所に植えつけます。
すばらしい芳香のハーブ「ラベンダーロンドンピンク」
「ハーブの女王」といわれ、素晴らしい芳香で古くから愛されているハーブです。
別名はイングリッシュラベンダー、コモンラベンダーで、シソ科の常緑小低木です。
解熱・殺菌、鎮痛・鎮静などに優れた効果があることから、万能の民間薬としても利用され、非常に多くの種類があります。
花はピンク色で、直立して咲きます。
育て方ですが、日当たりのよい場所と、水はけのよいアルカリ性の土でよく育ちます。
移植を嫌うので、タネを直まきして、間引きながらよい株を育てます。
苗を植えつける場合は、根を傷めないように優しく扱いましょう。
冷涼で乾燥した気候に適し、日本の高温多湿の気候を最も苦手とする植物なので、庭植えの場合は、盛り土をして風通しをよくしたり、コンテナ植えにして、乾燥した風通しのよい場所に移動させながら育てるなどの工夫が必要です。
枯れさせてしまう原因には、水のやり過ぎと、肥料の施し過ぎということが多いので、控えめを心がけます。
苗は、日当たり、水はけ、風通しのよい場所に植えつけます。
利用法ですが、花は乾燥させても香りや色があせることがないので、ハーブティーやポプリ、クラフトなど、幅広く楽しむことができます。
防腐・消臭、鎮静作用もあるので、全草を入浴剤などに余すことなく利用しましょう。
濃い紫色の花穂が魅力「ストエカスラベンダー」
生育が早く早咲きで、花が長く楽しめます。
別名はフレンチラベンダー、スパニッシュラベンダーで、シソ科の常緑小低木です。
蒸し暑さに弱いので、枝が茂りすぎないように注意し、風通しよく管理します。
花は、花穂の頂点のリボンのような花弁が愛らしく、ドライフラワーやポプリに向きます。
銀白色の葉は、花とともにポプリや入浴剤に、また、ガーデニング素材としても魅力的です。
苗は、日当たり、水はけ、風通しのよい場所に植えつけます。
密植した時の美しさは抜群「4号遅咲きラベンダー」
北海道で選抜・育成された品種で、シソ科の常緑小低木です。
日本でコモンラベンダーをもとに改良された、マイルドな香りの品種です。
北海道の富良野、山梨県の河口湖などで栽培が盛んです。
やや高性に育ち、花茎・花穂が長めで、青紫色の香り高い花を咲かせます。
全草で、防虫、入浴剤、ポプリ、ラベンダー、バンドルズなどに利用できます。
花は、紫色が濃く、密植して遠くから眺めた時の美しさは抜群です。
葉は、花とともにポプリや入浴剤に利用します。
苗は、蒸れを嫌うので、特に真夏は高温時に水やりせず、株の真ん中をすかすなど注意します。
先の細くなった花穂が特徴「3号早咲きラベンダー」
北海道で選抜、育成された品種で、シソ科の常緑小低木です。
日本で、コモンラベンダーをもとに改良された品種で、先の細くなった花穂と赤みを帯びた蕾が特徴です。
5月下旬から咲き始め、秋にも返り咲きます。
濃紫色の花が印象的で香りもよく、海外に知られた品種です。
花は、同じ紫色でも赤みがかかっていたり、茎や葉色とのバランスで、種類によって違ってみえるのもラベンダーの魅力です。
葉は、花とともにポプリや入浴剤にします。
苗は、蒸れを嫌うので、特に真夏は高温時に水やりせず、株の真ん中をすかすなど注意します。
女性の美容と健康に「レディスマントル」
収れん・抗炎症、止血などの効果があり、ハーブティーは産後の元気回復によいとされ、女性に美容と健康をもたらすといわれるハーブです。
別名はなく、和名はハゴロモソウ、バラ科の多年草となります。
花は、薄い黄緑色のかわいい小花が咲きます。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけがよくやせ気味の土を好み、アルカリ性の土に適しているので、植えつける場所の土には苦土石灰を混ぜます。
コンテナ植えの場合は、底に鉢底石などを多めに敷いて、水はけをよく保ちましょう。
強い日差しと雨を避けて乾燥気味に管理し、夏は風通しをよくするために枝を間引きします。
春か秋にタネまき、株分けで殖やします。
こぼれダネでも、よく発芽します。
苗は、日当たりのよい乾燥した場所に植えつけます。
利用法ですが、乾燥させた葉は、ハーブティーか入浴剤にします。
肌を引き締める効果があるので、化粧水の代わりにも使えます。
やや苦味がありますが、やわらかな若葉を少量、小さく刻んで、サラダに混ぜて食べることもできます。
黄色の小花は、葉・茎とともに、入浴剤に使用します。
まとめ
いかがでしたか。
まずは、お庭の片隅やベランダのちょっとしたスペースにハーブの苗をいくつか植えてみませんか。
ハーブはとても丈夫で、すくすく育ち、いい香りがいっぱいに広がりますよ。