ハーブとは、人の暮らしに役立つ植物のことです。
薬草として、料理の薬味として、またポプリや入浴剤など香りを楽しむ香草として、さまざまな楽しみ方ができるのがハーブです。
使い方を考えて、育てたいハーブを選んでみましょう。
今回は、たくさんあるハーブのなかでも、オススメのハーブを7つご紹介します。
さわやかなパステルカラーが人気「コーンフラワー」
手間がかからず、寒さに強く丈夫に育つハーブです。
別名はブルーボトルで、和名はヤグルマギク、キク科の1年草となります。
淡いパステルカラーの花が美しく、ナチュラルな風合いのガーデニング素材としても人気があります。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけがよく肥沃な土を好みます。
タネを直にまいて育てれば、後はこぼれダネでどんどん殖えていきます。
肥料の施しすぎと、多湿な環境では茎ばかりが伸びて、花つきが悪くなるので、水やりと施肥は控えめを心がけましょう。
花がらをこまめに摘みとると、長く花が楽しめます。
秋に、タネまきで殖やします。
利用法ですが、もともと乾燥した質感をもっているので、ドライフラワーに最適です。
乾燥させた後も、花の色が鮮やかに残ります。
ポプリにも向いています。
煮出した液には収れん作用があるので、化粧水としても利用できます。
花は、全草をドライフラワーに、また花首だけ摘み取りポプリによいです。
葉は、開花後2~3日以内に茎ごと刈り取って乾燥し、ティーなどによいです。
古代ローマ時代から親しまれる「コモンマロウ」
古代ローマの人々が、花や葉を野菜のように食用にして味わっていたといわれるハーブです。
別名はなく、和名はウスベニアオイ、アオイ科の多年草となります。
同じ種類には、淡い芳香をもつムスクマロウ、地面を這うように伸びるクリーピングマロウなどがあり、花は1日でしぼんでしまいます。
育て方ですが、日当たりのよい場所と水はけのよい土を好みます。
特に土質は選ばずに、丈夫に育ちます。
根が深く伸びるので、植えつける場所の土はよく耕しておきます。
寒さに強く、栽培は簡単ですが、移植を嫌うので、タネを直まきして、適宜、間引いて、よい株を残します。
大きく育つので、株間は80センチ以上あけましょう。
春か秋にタネまき、春に株分けで殖やします。
苗は移植を嫌うので、植えつけるときは根を傷めないように注意します。
利用法ですが、若葉と花はサラダやティーに適しています。
コモンマロウの花のティーは涼しげなブルーですが、レモン汁を加えるとピンク色に変わる不思議なハーブティーになります。
咳や胃炎に効果があるとされ、葉と根は野菜としても利用できます。
のどの痛みや炎症を和らげる「マーシュマロウ」
マロウの中でも、薬効に優れた品種とされています。
別名はなく、和名はウスベニタチアオイ、ビロードアオイで、アオイ科の多年草となります。
根の粉末から作られたのど飴のようなゼリーが、お菓子のマシュマロの原型です。
花はピンク色がかった白色で、若葉はサラダなどに、乾燥させた花と葉はティーとして利用します。
苗は草丈が高くなるので、株間を広くあけて植えつけます。
美しい色のハーブティーを楽しむ「ブルーマロウ」
初夏に咲く花は直径4センチほどの大きさで、濃い青紫色の大輪の花が目を引きます。
別名はハイマロウで、アオイ科の2年草となります。
花は紫色ですが、ハーブティーにすると美しいブルーの飲み物となります。
葉はサラダ、ティーに、また野菜として普通に利用できます。
苗は草丈が高くなるので、株間を広くあけて植えつけます。
ギザギザの葉に小さな赤色の花が可憐「サラダバーネット」
周囲に細かい切れ込みの入った、丸い小さな葉が特徴です。
別名はガーデンバーネットで、和名はオランダワレモコウ、バラ科の多年草となります。
葉を揉むと、キュウリのような香りがあります。
消化促進、利尿作用があり、根を煮出した液は、止血薬としても利用されました。
花は5~6月に、ワレモコウに似た小さな赤い花をつけます。
育て方ですが、日当たりのよい場所と水はけのよい土を好み、石灰質の土と相性がよいようです。
根が傷みやすいので、花壇やコンテナなどに直にタネをまき、発芽後に間引きをして、株間を20センチ程度に整えて育てます。
梅雨から夏にかけては、高温多湿で株が傷んで下葉を落とすことがあるので、水はけと風通しをよく保つように心がけ、収穫を兼ねて枝を間引きします。
春か秋にタネまき、株分けして殖やします。
こぼれダネでもよく発芽します。
苗は徒長していない、節と節の間がつまったものを選びます。
利用法ですが、葉はキュウリに似た風味があります。
開花直前の新鮮な若葉を収穫し、サラダやスープなど、料理の飾りに使います。
ワインの風味づけ、酢に付け込んだバーネットビネガーも人気があります。
さわやかな風味のハーブティーは化粧水としても利用できます。
濃い緑色の葉と香りが食欲をそそる「スィートバジル」
イタリア料理のスパイスとして欠かせないハーブです。
別名はコモンバジルで、和名はメボウキ、シソ科の1年草となります。
艶のある柔らかな葉と、甘くスパイシーな香りが特徴です。
一般的には、バジルというとスィートバジルを指すことが多いようです。
育て方ですが、日当たりのよい場所と、水はけがよく保水性のある肥沃な土を好みます。
暑さや乾燥には強く、夏の直射日光や西日も平気です。
庭植えでは、過湿にすると株や根が弱って病害虫が発生しやすくなるので、常に乾燥気味に管理します。
コンテナ植えの場合は、土の表面が白く乾いてから、たっぷりと水を与えます。
夏には収穫を兼ねて、葉を刈り取り風通しよく保ちます。
株が弱るので、花穂がついたらすぐ摘み取るほうがよいでしょう。
春にタネまき、夏に挿し木で殖やします。
苗は、霜の心配がなくなってから植えつけます。
利用法ですが、なんといっても生の葉の香りが素晴らしいので、多めに育てて、サラダやパスタ、ソースなどに大活躍です。
オリーブオイルを混ぜたバジルペーストを作っておくと便利です。
ハーブティーはリラックス効果、消炎作用があります。
白色の小花が集まった花穂も食べられます。
輝く暗紫色の葉「ダークオパールバジル」
香りは、スィートバジルと同じです。
別名はなく、和名はメボウキで、シソ科の1年草となります。
茎葉が濃い紫色をしているところから、この名があります。
花はピンク色がかった紫色、葉は赤ジソに似ていて、ビネガーやオイルに漬け込み、色と香りを楽しみます。
ハーブティーにも最適です。
苗は葉の色が濃くがっしりしたものを選びましょう。
幅広い料理に利用できる「レモンバジル」
細く、艶のない葉は、バジルとレモンの香りを併せ持つ、柔らかく柑橘系の爽やかな香りがあります。
別名はなく、和名はメボウキで、シソ科の1年草となります。
葉を長い期間収穫したい場合は、花をつけないように花芽を摘み取ります。
花は、控えめな白色の小花です。
苗は、肥沃で日当たりのよい場所に植えつけましょう。
柔らかい香りと花と葉色のコントラストを楽しみたい「シナモンバジル」
シナモンの香りと、ピンク色の花が魅力的なバジルです。
別名はなく、和名はメボウキで、シソ科の1年草となります。
茎は赤紫色で葉の緑色とのコントラストが美しく、観賞用としても人気があります。
葉は緑色で、シナモン独特の甘い香りがします。
苗は、花が咲きやすい品種なので、花を楽しみながら葉を使いましょう。
リフレッシュしたい時のハーブティーに「スペアミント」
清々しい香りの古くから親しまれているハーブで、葉脈のはっきりした葉が特徴です。
別名はなく、和名はミドリハッカ、シソ科の多年草となります。
花は、白色の小花が集まって花穂になっています。
日本でも野生化するほど殖えている、甘い爽やかな香りをもつミントです。
生の葉のハーブティーは、冷やすと清涼感が一層引き立ちます。
育て方ですが、日当たりのよい場所と、水はけがよく保水性のある肥沃な土を好みます。
やや湿り気のある土が適していますが、土質は特に選びません。
過湿にすると病害虫が発生しやすくなりますが、乾燥しすぎないように管理します。
性質が強いので、庭植えでは、他の植物の邪魔になるほど殖えてしまいます。
土中まで深く、仕切り板を差し込むか、大きめのコンテナで栽培するようにします。
コンテナ植えの場合は、土の表面が白く乾いてから、たっぷりと水を与えます。
夏には収穫を兼ねて葉を刈り取り、風通しよく保ちます。
タネまき、挿し木、株分けで殖やします。
利用法ですが、葉はハーブティー、入浴剤、ポプリなど幅広く利用できます。
花は、ポプリやドライフラワーの他、切り花にもなります。
誰にでも好まれる香りなので、初心者向きのハーブです。
苗は、異なる種類のミント同士を隣に植えると、交雑しやすいので注意が必要です。
ミントの楽しみ方
ミントには口臭予防、健胃、風邪予防、リラックス、消化促進などの作用があるといわれています。上手に暮らしに取り入れましょう。
- いつものデザートにミントをあしらって爽やかさをプラス
- ミント入りのアイスキューブを製氷皿でつくって飲み物にプラス
- 細かく刻んでバターに混ぜ込み、ミント風味のバターに
- ミントティーは、ホットでもアイスでも胃にやさしい
- フルーツジュースや紅茶、緑茶とのブレンドも美味しい
- ミントの生の葉を袋に入れてお風呂に入れ、夏におススメの爽やかなミントバスに
リンゴのような香りが特徴「アップルミント」
全草に綿毛が生え、葉は丸みを帯びています。
リンゴのような甘い香りをもち、ハーブティーに適しています。
別名はウーリーミントで、シソ科の多年草となります。
サラダに少量散らしても楽しめます。
花は、白い小花の花穂がつきます。
苗は交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
斑が入った葉の美しさを楽しむ「パイナップルミント」
アップルミントの斑入り種で、葉にクリーム色の斑が入ります。
観賞用としても利用されることが多くなったミントです。
花は、薄い藤色の花穂がつきます。
苗は、交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
強いメントールの香りが爽やか「ペニーロイヤルミント」
地面を這うように広がって育つタイプのミントです。
別名はなく、和名はメグサハッカで、シソ科の多年草となります。
湿気のあるアルカリ性の土を好んで育ち、他の種類に比べると、やや寒さが苦手です。
グランドカバー向きで、芝生のように使いたい場合は花は諦め、刈り込みを繰り返して葉を密にさせると、踏むたびに、爽やかな香りのするグランドカバーになります。
子宮収縮作用が強いので、妊娠中の方は飲用をしないでください。
葉は乾燥させて布で包みペットの首に巻くと、ダニや蚊よけになるといわれています。
花は、薄紫色の花が球状に何段もつき、ドライフラワーなどに最適です。
苗は交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
胃腸を整える効果もある「ペパーミント」
刺激的な強い香りのミントで、薄紫色の長い花穂がつき、茎葉が赤紫色になることもあります。
別名はブランデーミント、和名はセイヨウハッカで、シソ科の多年草となります。
ミントのなかでも最も知られた種類で、生の葉も乾燥したものも、ティーを始め、料理や入浴剤、ポプリなど幅広く利用することができます。
殺菌、防虫、鎮痛作用や胃腸を整える効果があり、清涼感のある香りは、万人に好まれます。
花は薄いピンク色の花穂で、そのままにしておくと葉や茎が固くなるので、切り取ります。
苗は交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
香り高いミント「ラベンダーミント」
茎葉が濃い紫色をしているところから、この名があります。
別名はオーデコロンミントで、シソ科の多年草となります。
花はピンク色がかった紫色で、球状に何段もつけますので、ビネガーに漬けて香りと色を楽しみます。
その他、乾燥しても香りが強いので、ポプリや入浴剤としても利用できます。
苗は交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
レモンの様な爽やかな香りの楽しむ「レモンミント」
名の通り、レモンの様な柑橘系の香りのミントで、飲み物や料理に使われます。
別名はなく、シソ科の多年草となります。
鶏肉や魚料理と相性がよく、柔らかな若葉はサラダに利用します。
ティーは、ミントの爽やかさとレモンの香りの両方を楽しめます。
挿し木で殖やし、薄紫色の花は、球状に何段もつけます。
苗は交雑しやすいので、地植えする場合は、鉢ごと植えるか仕切りをする方がよいです。
ビタミンCがたっぷり「ドッグローズ」
バラのなかでも特に香りの強い原種のバラです。
別名はワイルドローズで、和名はイヌバラ、バラ科の半つる性落葉低木です。
一重の愛らしい花が終わると、ローズヒップと呼ばる果実が実り、ビタミンCが豊富に含まれた香り高いハーブティーになります。
育て方ですが、日当たりのよい場所と水はけがよく肥沃な、適度に湿り気のある粘土質の土を好みます。
植えつける場所の土には腐葉土を多めに入れ、元肥として有機質肥料を混ぜ込みます。
真夏の乾燥が苦手なので、強い直射日光を避けて管理します。
気温が4℃以下となる冬の休眠期以外は、水と肥料を切らさないように管理し、病害虫は早めに駆除します。
春か秋にタネまき、夏から秋に挿し木で殖やします。
苗の植えつけは、冬の休眠期に行います。
利用法ですが、真っ赤に熟した果実を、酸味と鮮やかな赤色を生かしたハーブティーやジャムに使用します。
蕾はピクルスにもなりますし、丸ごと乾燥させてポプリにも最適です。
観賞用としても人気の花「ヤロウ」
観賞用としても人気のあるアキレアです。
別名はヤロウホワイト、アキレアで、和名はセイヨウノコギリソウ、キク科の多年草となります。
ヨーロッパでハーブとして使用されてきたのは、プタルミカ(オオバナノコギリソウ)という自生種で、180センチほどにも育つ大型で、白色の花をつけます。
和名の西洋ノコギリソウは、羽状の切れ込みが入った葉が由来です。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけのよい土を好みます。
特に土質に左右されることなく丈夫に育ち、暑さ、寒さや乾燥にも強く、ほとんど手がかかりません。
大きな株になるので、株間を30センチほどあけて植えつけます。
コンテナ植えの場合は、大型のものを使用、鉢植えには小型種のウーリーヤロウが適しています。
草丈20センチほどになり、こまめに除草してやるとよく育ちます。
春か秋にタネまき、株分け・挿し木(茎)で、殖やします。
こぼれダネでもよく発芽します。
利用法ですが、サラダには、茹でた若葉や花を散らして楽しみます。
花と葉、茎は、乾燥させてハーブティーにすると胃腸を整え、風邪にも効果があるといわれています。
小花が密集して咲く花は、観賞用にも最適です。
苗は、日当たりのよい場所に植えつけます。
ハーブティーは食欲増進に「ヤロウピンク」
ピンク色の花が咲く種類で、ヤロウローズともいいます。
別名はヤロウローズ、ミルフォイル、アキレアで、和名はアカバナノノコギリソウ、キク科の多年草となります。
濃いピンク色の花は、乾燥させてティーにします。
若葉は、ティーやサラダに最適です。
鮮やかな黄色い花は染料に「ヤロウイエロー」
コーカサス地方の原産で、細い羽根のように切れ込んだ葉が特徴です。
別名はファーリンリーフヤロウで、キク科の多年草となります。
ドライフラワーに適していて、明るい黄色の花は、黄色の染料にもなります。
若葉は、ティーやサラダに適しています。
まとめ
いかがでしたか。
まずは、お庭の片隅やベランダのちょっとしたスペースにハーブの苗をいくつか植えてみませんか。
ハーブはとても丈夫で、すくすく育ち、いい香りがいっぱいに広がりますよ。