コンビニなどでよく見かけるこの看板。
「遊漁券」とは、川などで魚を釣るときに必要な券のことです。
「海釣りは無料なのに、川は有料なの?」
と思われる方もいると思います。
今回は、そんな「遊漁券」をご紹介します。
「遊漁券」を購入することで「漁業権」を得ている
川や湖などの内水面で釣りをする場合、その場所が、都府県知事の認可を受けた漁協(漁業協同組合)の管轄かどうかが、重要になってきます。
「漁協が管轄している」ということは「漁業権が設定されている」ということでして、その漁協以外は魚を捕獲できません。
漁業権が設定されている河川の場所で、漁業権がない一般の方が釣りをする場合、「遊漁券」という券を購入して、漁業権を得る必要があります。
ちなみに、漁協が発行する「遊漁券」の殆どは「遊漁承認証」と書かれています。
ほかにも、鑑札券、入漁券、遊漁証、遊漁許可証などと、様々な呼び方がありますが、一般的に「遊漁券」「つり券」と呼ばれることが多いです。
さて、漁業権ですが、名前の通り「漁業を行う権利」のことです。
漁業権は、都道府県知事が各漁協に対して認可しているもので、個人に対して認可されることはありません。
ただし、川や湖などの内水面の漁業権は、管轄する漁協から「遊漁券」を購入することで、この権利を得ることができます。
ですので、漁協が管轄している場所で「遊漁券」を買わずに釣りを行うと、密漁になります。
漁業権が設定されている川や湖などの内水面は、遊漁規則が定められているので、規則を守って遊漁を楽しむことになります。
資源確保のための資金にも
川や湖などの内水面は、海と違い、資源が限られています。
餌の量も、海とは比べ物にならないほど少ないです。
結果、川に生息する魚の数は、限られてきます。
漁協では、漁業権が設定されている河川に、イワナやヤマメ、ニジマスなどの稚魚を放流して資源の確保をしています。
また、放流した稚魚を守るために、禁漁区域や期間を設けています。
このように、漁協の方々が、稚魚や成魚を放流したり、産卵する場所を整備することで、川の魚は守られています。
こういった一連の作業は、当然ですがお金がかかります。
また、釣り場周辺のゴミの撤去や草木の伐採なども必要で、その作業人員を確保するための費用も必要となります。
一般の方が「遊漁券」を購入することで負担した遊漁料金は、こういった資源確保・環境維持をするための資金として使われています。
最近では、密漁やマナー違反の釣り人も増えていますが、釣り場の維持管理の為にも「遊漁券」を購入し協力することが大事です。
水域が広く資源が豊かな海ではどうなのか
一方で、海での遊漁行為は、基本的に制限されません。
海の魚は、漁業権が及ばない区域から、及ぶ区域まで移動できるため、その所在がはっきりしないからです。
ただし、都道府県の規則で一定の遊漁行為が禁止されている場合もあり、一概に断言できないので、注意が必要です。
また、船を走らせながらの引き釣りや、もりで魚を突くなど、方法によっては禁止されているので、注意が必要です。
さらに、漁業権が設定されている沿岸で、アワビやサザエなどの貝類や、ワカメなどの海藻類など、水面に定着する魚介類の採取は、禁止されています。
そのため、潮干狩りは、漁協に対して入漁料を支払う必要があるのです。
「遊漁券」の種類
「遊漁券」は、主に3つの要素(魚の種類、捕り方、期間)の組み合わせで構成されています。
出典:つり具の木下
【魚の種類】どんな魚を釣っていいのか
1つ目に「どんな魚を釣って良いのか」ということが決められています。
例えば、鮎とアユ以外(ヤマメ、イワナなど)で分けられていたりします。
しかし、場所によって「この魚種はOK、この種はNG」など様々なルールがあるので、
必ず、事前に下調べしてから向かいましょう。
【捕り方】どんな捕り方(漁具、漁法)をしていいのか
2つ目に「どんな捕り方(漁具、漁法)をして良いのか」ということが決められています。
大抵は、竿や網といった方法になります。
こちらも、各漁協、各遊漁券によってルールが異なりますので、あらかじめ、各漁協に確認しておきましょう。
【期間】いつ釣っていいのか
3つ目に「いつ釣っていいのか」ということが決められていて、主に3つに大別されます。
【日券】
利用日(承認日)に限り利用可能な「遊漁券」になります。
基本的に、日の出から日没までとなります。
ただし、漁協によって異なる場合もあります。
【年券】
各漁協が指定した遊漁期間内でのみ、利用可能な「遊漁券」になります。
あくまでも指定期間内での利用となり、1年中釣りができるという意味ではありません。
【365日券】
購入をした日から、一年間利用可能な「遊漁券」になります。
ただし、禁漁期は利用できないので注意が必要です。
出典:自然倶楽部
上記以外の「遊漁券」
他にも、漁協によっては、下記のような「遊漁券」を発行しています。
【共通券】
県内の管轄する川で、どこでも釣りができる「遊漁券」です。
【特別券】
子供や高校生以下、女性、障がい者に対し、無料や半額対応となる「遊漁券」です。
遊漁券の使い方
「遊漁券」は、「ここで釣りをする権利がありますよ」という証明になるものですので、釣りをする際には「遊漁券」を携行し、身体の見えやすい箇所に着ける必要があります。
また、監視員が巡回の際には「遊漁券」を提示しなければなりません。
これで心置きなく釣りができます#秋田で釣る理由#秋田 #サクラマス #遊漁券 pic.twitter.com/34Yq48SvdE
— 秋田で釣る理由【釣り系Vtuber】 (@fishingakita) 2018年3月15日
購入方法は
釣具店やコンビニ、個人商店等で購入可能です。
各漁協によって、販売委託先が異なるので、注意が必要です。
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また、インターネットでも「遊漁券」を購入できます。
「つりチケ」と呼ばれるサービスで、
「どこで買えばいいかわからない」
「朝早く行くと、店が開いておらず遊漁券が買えない」
といったことが解消される便利なサービスです。
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さらに、遊漁券の購入者限定で、ドローンで撮影した河川動画も見ることができます。
ただし、提携している漁協のみとなりますので、注意が必要です。
まとめ
いかがでしたか。
川釣りは、ただ単に魚を釣ることだけでなく、漁協の関係者に感謝し、「遊漁券」を購入することで、河川の維持管理に貢献することが大事です。