B’zも在籍するビーイング系のWANDS時代に、一躍、時の人になった伝説のヴォーカリスト「上杉昇」さんの時代別の魅力を紹介していこうと思います。
「上杉昇」という人
元々ガンズ・アンド・ローゼズのアクセル・ローズなどのロック系アーティストに憧れていて、ラウドネスが所属しているからということで、ビーイングに入りWANDSを結成しました。
しかし、当時の担当プロデューサーが、ポップな曲ばかりシングルに持ってくるということが我慢できなくなり、ギタリストの柴崎浩さんと脱退することになります。
そして、当時影響を受けていたニルヴァーナ的な音楽を表現するために、柴崎さんと二人でal.ni.coを結成します。
その後、自分の世界を突き詰めるために、ソロや猫騙というグループを組んで活動しています。
「WANDS」時代
なんといっても一番記憶に残っているのは、この「WANDS」に在籍していた時期だと思います。
まずは、中山美穂さんとのデュエットが話題となった「世界中の誰よりきっと」だと思います。
しかし、ロック志向が強かった上杉さん本人は、アイドルと一緒に歌うことにあまり乗り気でなかったようなことを、後日語ったりしています。
アニメ「スラムダンク」の主題歌となった「世界が終わるまでは」が有名で、高音域を絞り出すような歌い方が印象的です。
この辺の曲が、WANDS時代の代表的な楽曲になります。
しかし、この他に素晴らしい曲がたくさんあります。
例えばシングル「恋せよ乙女」のカップリング曲の「ありふれた言葉で」です。
バラードソングで、失恋を歌った曲ですが、高音域まで綺麗に歌い上げていて、情熱的で歌詞に情景描写なども描かれていて感動的です。
また、バラードでは、3rdアルバムに収録された「Little Bit…」なども良いです。
そして、ハードな曲では、在籍時最後に発表された4thアルバム「PIECE OF MY SOUL」オープニングを飾る「FLOWER」がニルヴァーナの影響を受けた過激な歌詞で、曲調も攻撃的な感じで素晴らしいです。
この曲は、当時としてはポップでキャッチーな曲を臨む世間の人が、WANDSに求めていなかったスタイルで、認知度も低いと思いますが、とても完成度の高い良い曲です。
また、ビーイング時代は歌詞の評価も高く、他のアーティストへの詞の提供も行っています。
DEENの代表曲である「このまま君だけを奪い去りたい」や、MANISHのシングル曲「声にならないほどに愛しい」も上杉さんの手によるものです。
また、長嶋茂雄監督が参加し話題となった「果てしない夢を」や、そのカップリングの「雨に濡れて」もZARDの坂井泉水さんと共同で歌詞を手がけています。
この「雨に濡れて」も、情熱的で刹那的な感じがして、感動的で素晴らしい仕上がりになっています。
「al.ni.co」時代
ニルヴァーナ的な音楽世界を表現するために、WANDSで活動を共にしたギタリストの柴崎浩さんと結成したユニットですが、アルバムを一枚リリースしただけで解散しています。
その後、柴崎さんは、T.M.レヴォリューションの西川貴教さんとアビンドン・ボーイズ・スクールなどを結成して、正統派ハードロック的な要素の曲を作曲し演奏しているので、あまりオルタナティブ的な感じは好きじゃなかったと思われます。
この時代では、3rdシングル「カナリア」が素晴らしい出来だと思います。
退廃的な曲調で、上杉さんのヴォーカルスタイルも荒々しいですが、ジャズなどの要素も感じられたりと良い仕上がりになっています。
ソロ時代
X JAPANのPataさんとのコラボレーション曲を含むアルバム『Blackout in the Galaxy』は、素晴らしい完成度になっています。
正に、上杉さんの集大成的な感じがします。
そして、「猫騙」での活動を含み、2018年にも「The Mortal」を発表し、ライブ活動をしています。
まとめ
いかがでしたか。
WANDS時代は、王道的な感じがして受け入れられやすいですが、近年はより真髄に迫った感じのマニアックな方向性で、その感性はより研ぎ澄まされていると思います。
また、近年はWANDS時代に楽曲を提供した織田哲郎さんと、一緒にコラボライブをしたりと、少ないですが再び表舞台に登場するようになっています。