日本のプロ野球は、セリーグとパリーグに、それぞれ6球団ずつ在籍しています。
各リーグのチャンピオンが、ペナントレースの全日程終了後に日本シリーズを戦い、ここで勝ち抜いたチームが、その年の日本一ということで歴史にも名を連ねるわけです。
その両リーグのチャンピオンの決め方が2000年代に入り、それまでと方式が変わり、「クライマックスシリーズ」が導入されたことで、少々複雑なシステムになってしまっていることは、知っておきたいポイントです。
ペナントレースを制したのに、日本シリーズに出場できないことがある
ポストシーズンゲームである「クライマックスシリーズ」が導入されている2018年現在のルールでは、ペナントレースの終了後、まず両リーグとも2位と3位のチームが、1位チームとの対戦の権利を獲得するために、「ファーストステージ」として3試合を戦います。
ここで2勝すれば、勝ち上がって「ファイナルステージ」へ進み、1位チームと6試合戦います。
尚、1位チームには、最初からアドバンテージで1勝が与えられているので、「ファーストステージ」から勝ち上がってきたチームは、4勝2敗で「ファイナルステージ」を戦わなければ、日本シリーズへの出場権は獲得できません。
ルール上は、ペナントレースで1位になったチームが有利にはなっていますが、下位チームにとっては、短期決戦で日本シリーズ出場権を獲得するチャンスがあるということで、力も入ります。
セリーグの場合、2007年に「クライマックスシリーズ」の制度が導入されましたが、2007年の中日、2014年の阪神、2017年のDeNAが、いずれもペナントレース1位のチームを「クライマックスシリーズ」で破って日本シリーズに出場しています。
つまり、2007年と2014年の巨人、2017年の広島は、ペナントレースで1位になったにもかかわらず、日本シリーズに出場できないという苦杯をなめたという訳です。
なぜクライマックスシリーズが始まったのか?
セリーグの場合、2006年以前は、ペナントレース優勝チームがそのまま日本シリーズに出場してきました。
パリーグは、昭和の時代に前後期制を採用したり、2000年代前半からプレーオフという名で、ペナントレース1位=そのまま日本シリーズ出場、というシステムは崩されていましたが、一般的に考えると「なぜそんな複雑なことをするのか?」という疑問に思います。
これについては早い話、「プロ野球人気維持のため」ということなのです。
正論は、長いペナントレースを1位で勝ち抜いたもの同士が、日本一をかけて争うのが筋です。
しかしその場合、首位チームが独走した年には、早々に2位以下のチームに目標がなくなってしまいます。
また、上位3球団と下位3球団に差がついてしまった場合も同じで、この場合は下位3球団は早ければ夏前くらいから、消化試合を延々と行わなければならなくなるのです。
そうなりますと、興行的にも苦しいわけで、何とかしてペナントレース終盤まで多くのチーム、ファンが目標を持てるようにということも考えられて、「クライマックスシリーズ」というのは始まったのです。
尚、こういったことは最近はあまり語られませんが、セリーグに導入される直前に、当時中日の監督だった落合博満氏が、「ペナントレース優勝の価値がなくなる」と語っていました。
まとめ
この先、「クライマックスシリーズ」が存続するのか?
という点については、当面は継続されるという見立てが妥当でしょう。
効果としては、Bクラスチームでも「何とかしてCS出場権は獲得したい」と意気込んで、9月中盤を過ぎても消化試合というのが減っているという点があります。
優勝の可能性がなくなっても、CSへ一縷の望みがあればファンも足を運び、スタンドに秋風が吹くことも、昔に比べて非常に少なくなっています。
先の元中日落合監督の言葉も大変重いものですが、やはりプロ野球は「ファンあってのもの」という観点から考えれば、観客動員に貢献している「クライマックスシリーズ」は、当分継続されると思われます。