ハーブとは、人の暮らしに役立つ植物のことです。
薬草として、料理の薬味として、またポプリや入浴剤など香りを楽しむ香草として、さまざまな楽しみ方ができるのがハーブです。
使い方を考えて、育てたいハーブを選んでみましょう。
今回は、たくさんあるハーブのなかでも、オススメのハーブを5つご紹介します。
鮮やかな黄色の花を楽しみ、根を収穫する「エリキャンペーン」
6~9月の夏にかけて、ひまわりを思わせる黄色い花が咲き、草丈2メートル以上にもなります。
別名はイエロースターワート、ワイルドサンフラワーで、キク科の多年草となります。
漢方では、根を土木香という生薬として使用し、胃腸を整える、のどの痛みをとるなどの効果があるとされています。
中世では、根茎に含まれる甘いでんぷん質を菓子に使用し人気のハーブでした。
映画「トロイのヘレン」では、エリキャンペーンを摘んでいる最中に、パリスに連れ去られたということになっています。
学名の「helenium」は、この言い伝えにちなんでつけられました。
育て方ですが、日当たりのよい場所と、水はけがよく、肥沃な適度に湿り気のある土を好みます。
人の背丈を越えるほど大きく育つため、庭植えでの栽培に適しています。
株間は、80センチ以上あけて植えつけましょう。
春にタネまき、早春か秋に株分けで殖やします。
根の収穫は、根が肥大する2年目以降に行います。
利用法ですが、根は花後の秋に収穫し、乾燥保存します。
砂糖漬けやワインやリキュールの風味づけ、ハーブティーに利用できます。
また、入浴剤として使用すると、湿疹などに効果があります。
さらに、細かく刻んで乾燥し煮出した液は、のどの痛みに効くといわれています。
花は乾燥させて、ポプリの彩りに使うと美しいです。
銀緑色の葉に赤みがかった茎「スイートマジョラム」
オレガノの仲間で、白色の小さな花が咲き、葉や茎にスパイシーで甘い香りがあります。
別名はノッテッドマージョラムで、和名はマヨラナ、シソ科の多年草となりますが、寒さに弱いので、寒冷地では1年草として育てます。
古くから、安眠とリラックスのハーブといわれてきました。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけのよい土を好み、中性からアルカリ性の土でよく育ちます。
極端な暑さと、寒さの両方が苦手です。
強い直射日光を避けて、乾燥気味に管理し、梅雨から真夏にかけては、特に株が蒸れやすくなるので、枝を間引くなど、水はけと風通しをよく保ちましょう。
庭植えのものは、厳寒期には鉢上げして、室内の温かい場所で冬を越します。
春か秋にタネまき・株分け、春に挿し木で殖やします。
利用法ですが、肉の臭み消し、風味づけに使い、トマト料理との相性がよいので、シチューやスープに入れます。
花は花穂ごと切り取り、葉は開花期直前に茎ごと刈って乾燥し、葉だけを保存します。
乾燥させた花や葉は、ハーブティーやポプリ、入浴剤として使うと、腰痛などの痛みを和らげます。
繊細な葉と花が魅力的「ディル」
全草に爽やかな香りをもつフェンネルと同じセリ科のハーブです。
別名はヒメウィキョウで、和名はイノンド、セリ科の1年草となります。
細い羽根のような葉と黄色の花も美しいので、観賞用としても人気があります。
タネは、フェンネルよりも辛味が強く、スパイスとして使用されています。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけがよく肥沃な土を好みます。
移植を嫌うので、タネを直まきして、適宜、間引いて株間を20センチ程度にあけて育てます。
根がまっすぐに伸びるので、コンテナ植えの場合は、深めの容器を選びましょう。
真夏の乾燥が苦手なので、水切れしないように注意します。
春か秋に、タネまきで殖やします。
こぼれダネでもよく発芽します。
フェンネルの近くに植えると、交雑することがあります。
苗は移植を嫌うので、植えつけるときは根を傷めないように注意が必要です。
利用法ですが、黄色の小花は、ピクルスやビネガー、オイルに漬け込みます。
葉は、魚と相性がよいので、つけあわせや魚介のマリネに入れます。
さらに、料理の風味づけやサラダ、スープにも利用できます。
タネは、スパイスにするほか、ハーブティーにすると胃腸を整え、消化促進・リラックスに効果があるなど、様々な効果があるハーブです。
花火のような花がかわいい「フェンネル」
全草から甘い香りの漂う大型のハーブで、タネは胃腸などに効く、漢方薬のウイキョウとして使われています。
別名はスイートフェンネルで、和名はウイキョウ、セリ科の多年草となります。
他に、葉・茎を食用にするフローレンスフェンネル、観賞用としても人気のあるブロンズフェンネルがあります。
育て方ですが、日当たりのよい乾燥した場所と、水はけがよく肥沃な土を好みます。
丈夫で、ほとんど放置していてもよく育ちます。
移植を嫌うので、タネを直まきして、適宜、間引いて、よい株を残します。
根がまっすぐに伸びるので、コンテナ植えの場合は、深めの容器を選びます。
市販の苗を植える場合は、根鉢を崩さないように植えます。
真夏の乾燥が苦手なので、水切れしないように注意し、春か秋にタネまき、春に株分けで殖やします。
こぼれタネからも、よく発芽します。
苗は、移植を嫌うので、植えつけるときには根を傷めないように注意します。
利用法ですが、葉は、マリネやサラダ、スープなどの料理の風味づけ、入浴剤に最適です。
花火のような小さな黄色の花も、サラダやスープの飾りに使用できます。
タネは、クッキーなどのお菓子に入れたり、ハーブティーに使用したりします。
妊娠中の方は使用を避けますが、出産後の母乳の出をよくするといわれています。
紅色の葉柄を食用に「ルバーブ」
爽やかな酸味が好まれ、根元から延びる太い茎(葉柄)は食物繊維とカルシウムが豊富で、食用に利用します。
別名はガーデンルバーブで、和名はショクヨウダイオウ、タデ科の多年草となります。
葉には、毒性のあるシュウ酸が多く含まれているので、食用にはなりません。
花は、クリーム色の小花が花穂に密集しています。
育て方ですが、日当たりのよい場所と、水はけと保水性のよい肥沃な土を好みます。
やや湿り気のある土が適していますが、土質は特に選びません。
夏に、強い西日の当たらない場所を選んで植えつけ、根元の土が乾燥するのを防ぐため、バークなどで根元を覆うとよいでしょう。
春か秋に、株分けで殖やします。
苗は、かなり大きくなるので、植え場所を考えて選びます。
利用法ですが、茎(葉柄)の皮を剥き、薄くスライスして砂糖をまぶしたお菓子に、また、煮込んでつくるジャムは、甘酸っぱい香りと酸味が楽しめます。
茎を食用に利用する場合は、花芽が出たらすぐに摘み取ります。
まとめ
いかがでしたか。
まずは、お庭の片隅やベランダのちょっとしたスペースにハーブの苗をいくつか植えてみませんか。
ハーブはとても丈夫で、すくすく育ち、いい香りがいっぱいに広がりますよ。