よく回転寿司で見かける「サーモン」
子供から大人まで大好きなネタだと思います。
一方、日本人が昔から食べてきた「鮭(秋鮭)」
これらは、実は似て非なるものなのです。
それでは、具体的に何が違うのか、ご紹介していきます。
そもそも種類が違う
学術的な観点でみると、秋鮭は「シロサケ」という魚種になり、いわゆるサーモン(アトランティックサーモン、トラウトサーモンなど)とは別の種類になります。
日本で流通している秋鮭は、主に北海道や東北の河川で生まれた鮭の赤ちゃんが川を下り、平均4~5年かけて海で大きく育って、生まれた川に帰って来た親鮭を漁獲しています。(一説には、水中のごく微量な匂いで、生まれた川を判別しているとも言われています)
そして、秋に取れる鮭なので「秋鮭(あきさけ・あきしゃけ)」と呼ばれるようになりました。
日本人が古くから親しんでいる「鮭」といえば、一般的にこちらを差します。
一方、サーモンと呼ばれる種類の魚は、海外(主にノルウェーやチリなど)にて養殖された魚を冷凍や冷蔵(流通の飛躍的な発達により、冷凍することなく空輸で運ばれるようになっています)で、日本に輸入されています。
なお、近年、国内でもサーモンの養殖が実施されており、日本各地でご当地サーモンなるものも誕生しています。
ただし、その規模は、海外産と比べるとまだまだ微々たる規模であり、日本国内では海外産のサーモンが席巻しています。
また、上記以外にも、紅鮭、銀鮭といった種類があります。
紅鮭は北太平洋に生息しており、日本ではほとんどとれない鮭で、ロシアやアラスカなどからの輸入のものがほとんどです。
産卵期を迎えると、身が真っ赤になることから紅鮭と呼ばれます。
銀鮭も日本近海ではとれない鮭で、大部分がチリ産となり、海で養殖されています。
国内では、鳥取県や宮城県などで養殖されています。
育った環境が違う
このように、国産と海外産の違いがある秋鮭とサーモンですが、もうひとつ大きな違いが「天然」か「養殖」かの違いです。
前述の通り、国産の秋鮭は自然の海で、自然のエサを食べて、大きく育って帰ってきたところを漁獲していますが、海外のサーモンは、海上に設置された巨大な養殖場(海に設置された網のプール)において、人工のエサを与えられて短期間で大きく育った魚を漁獲しています。
そのため、養殖もののサーモンはエサの配合比率の調整によって、アブラの乗り具合などもコントロールされているのです。
もちろん、海外にも天然のサーモンは生息しているので、ワイルドサーモンと呼ばれる天然物のサーモンもあるのですが、流通に乗り、消費者の元に届くサーモンはほとんどが養殖物で占められています。
味や食べ方も違う
このように、全く異なる環境で育ってきた「秋鮭」と「サーモン」ですが、日本ではどのように食べられているのか見ていきましよう。
まず、秋鮭は切身をグリルやフライパンで焼いた「焼き鮭」が定番ですが、国内の秋鮭の8割を誇る北海道では「ちゃんちゃん焼き」や「石狩鍋」といった、秋鮭を使用した伝統的な料理が古くから食べられ、いまでも親しまれています。
アブラ乗りが良く、生で食べてもとろけるような美味しさが人気の理由だと思います。
この他、最近ではスーパーの鮮魚売り場でも、焼き物用の切身として売られているのは、輸入物が目立つようになってきました。
まとめ
いかがでしたか。
せっかく、ここまで読んで頂きましたので、今後、鮭やサーモンを召し上がる際には、是非とも産地に注目して頂き、「この魚は、どのような人生を歩んできたのだろうか?」と思いを巡らせてみると面白いかもしれません。
「このサーモンは輸入物だから、生まれてからヌクヌクと養殖上で美味しい(かどうかは分かりませんが)エサを与えられて育ってきた、お坊ちゃんサーモンなのかぁ?」とか、
「これは北海道産の秋鮭だから、大自然の中で大きく育って、生まれた川に帰ってきた所を漁獲された哀れな鮭なんだぁ・・・」といった具合です。
皆さんが、何気なく食べている普段の食材に気を配って頂けるキッカケになれば、幸いです。