日本の文豪が書いた文章は、だれでも学校の教科書で読んだことがあると思います。
しかし、日本の有名作品は、読みにくいものが多いですよね。
世界観が独特で、一般向けとはいいがたいものがほとんどです。
それでも、文章の美しさなどは文豪ならではのもので、読みこなせれば、たくさんのことを吸収できます。
ここでは、文豪の作品のなかから、読みやすい入門者向け作品を7つ紹介します。
谷崎潤一郎らしくない、さわやかな世界観『細雪』
谷崎潤一郎の代表作です。
谷崎は卑猥な作品が多く、一般向けではないのですが、この作品は例外。
朝ドラのような、さわやかな世界観を楽しむことができます。
入門者向けとしては長さがマイナスですが、文章が巧みなので読むのは疲れません。
ノーベル文学賞にいちばんふさわしい日本人は、谷崎潤一郎だったという声は、いまでもよく聞かれます。
天才小説家の作品に、ここから入門しましょう。
永井荷風の日記『断腸亭日乗』
永井荷風の日記です。
文語体で書かれているため文章は読みづらいですが、日記だから内容は簡単。
しかも面白いです。
美しい文語体のリズムを体得したいと考えたことのある人は、ここから入門するとよいでしょう。
気になった個所を拾い読みするだけでも、十分に楽しめます。
森鴎外の自伝的な作品『妄想』
森鴎外の自伝的作品。
鴎外は、日本でいちばん文章が上手いといわれる天才でした。
しかし、その作品はとっつきにくいものが多く、一般人気はあまりありません。
そのなかでおすすめなのが、この「妄想」という作品。
鴎外の自伝的な作品となっていて、共感しながら読める人も少なくないと思います。
分量がコンパクトな点もポイント。
キャッチーかつ神秘的『神々の微笑』
芥川龍之介の作品です。
芥川は短編の名手で、分量が少ないという意味では、初心者向きといえるかもしれません。
ここでおすすめしたいのは、彼の短編のなかでは比較的マイナーといえる「神々の微笑」です。
宣教目的で日本に訪れた外国人牧師の前に、老人の姿をした霊が現れ、日本でキリスト教を布教することの無意味さを説くという筋書き。
キャッチーかつ神秘的で、強烈な印象を残す作品です。
人物の会話から成り立っている『夜叉ヶ池』
泉鏡花の代表作です。
鏡花は、他の誰にも真似のできない独自の世界観と文章をもつ天才でした。
難解な作品が多いですが、分量の少ないものが多いので、その点ではとっつきやすいです。
なかでもおすすめなのが「夜叉ヶ池」。
戯曲形式の作品で、シェイクスピア作品のように、すべて人物の会話から成り立っています。
話の筋も、つかみやすいです。
太宰治の小品『待つ』
太宰治の小品です。
文庫版でたった4ページ。
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太宰の作品はきわめて個性的で、拒絶反応を示す人も少なくありませんが、この作品にはそのような特徴はありません。
むしろ、多くの人々の共感を集めるであろう内容が、美しい文章でつづられています。
太宰が苦手な人も、これだけは読んでみてほしいと思います。
日本の古典文学への入門『坊っちゃん』
夏目漱石の代表作の一つ。
漱石は後期の暗い作品が有名で、学校の授業でもそういう作品を読ませられて、漱石が嫌いになった人も少なくないかもしれません。
しかし、彼はユーモアの名手でもあり、とくに初期の作品には明るく笑えるものが多いです。
そのなかでもおすすめなのが「坊っちゃん」。
自伝的要素を取り入れた初期漱石の代表作です。
勢いとユーモアに満ちた文章は、とても笑えます。
筋書きもキャッチーでわかりやすく、分量もコンパクトで、漱石はもちろん、日本の古典文学への入門として、これ以上のものはなかなか見当たりません。
まとめ
いかがでしたか。
以上、日本の文豪入門におすすめの作品を7冊紹介しました。
読んでみて合わないと感じたら、すぐに読むのをやめてしまってかまいません。
逆に興味が持てそうだと感じたら、その作家の作品をどんどん読んでいってください。
それを糸口にして、読書の世界が広がっていくはずです。