早川書房は、海外翻訳SFの出版に力を入れてきた出版社です。
例えば、SF映画として有名な「2001年宇宙の旅」や「ブレード・ランナー」の原作小説を日本で出版しているのは早川書房です。
また、かつて1957年から1974年までの間、古今東西のSFを厳選した叢書「ハヤカワ・SF・シリーズ」(全318巻)を刊行して、日本のSFファンを育てたのも早川書房でした。
新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
そんな早川書房が、2012年に新たに開始した叢書が「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」です。
こちらは、2018年4月現在、37冊が刊行されています。
「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」のラインナップの特徴は、古典を掘り下げるのではなく、現在の新しい海外SFの収穫を、日本の読者に紹介するという性質があることです。
例えば、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の第二期で刊行された、ケン・リュウの「紙の動物園」は、テレビ番組でもタレント作家のオススメの本として紹介され、ベストセラーになりました。
【 #今日のおすすめ本 】本日は『 #紙の動物園 』をご紹介。ケン・リュウの代表作でもある本作品は、SFのエッセンスが僅かに含まれた、叙情性、幻想性に満ちた優しく切ない物語です。
(Y.S) #ケンリュウ #又吉直樹 #早川書房https://t.co/p7AQRAiZWN” pic.twitter.com/GMA8FThRaf— ReaderStoreJP (@ReaderStore_JP) 2017年4月1日
その後も、ケン・リュウの作品は、「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ一 諸王の誉れ」、「蒲公英(ダンデライオン)王朝記 巻ノ二 囚われの王狼」、「母の記憶に」と続いて新☆ハヤカワ・SF・シリーズから刊行され、いずれも好評を博しています。
また、このケン・リュウ人気を受けて、ケンリ編の「折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー」も「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」から刊行されました。
年度ベストもぞくぞく
「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の功績は、新しい作家の紹介だけに限りません。
英国のベテランSF作家、クリストファー・プリーストの作品、「夢幻諸島から」と「隣接界」を刊行し、これらはどちらも、年に一度読者の投票で選ばれる「このSFがすごい」にて、そも年の翻訳SF1位に輝いています。
見本が出ました! 『夢幻諸島から』以来4年ぶりの新刊となります、クリストファー・プリースト『隣接界』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)。10/19発売です!! pic.twitter.com/f4P1t5A3Sj
— umeda (@maniamariera) 2017年10月16日
他にも、現在最高のハードSF作家と評されるグレッグ・イーガンの著作も、「白熱光」、「クロックワーク・ロケット」、「エターナル・フレイム」、「アロウズ・オブ・タイム」と次々と刊行されました。
ピーター・トライアスの「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン」など話題性の高い作品は、文庫版と「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」版を同時刊行したりもしています。
こうした意欲的な取り組みが功を奏して、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の刊行作品からは、毎年「このSFが読みたい」に何作もランキング入りしています。
海外SFのいまを知ることができる
早川書房には、SF専門の文芸誌SFマガジンがあり、こちらでは隔月で、海外の新鮮なSF作品と情報が掲載されています。
しかし、雑誌ではどうしても紙面が限られていて、大長編を一挙掲載するわけにはいきません。
また、海外SFの場合、どの作家のどんな作品が読者に喜ばれるかが、わからない日本の出版社も多く、結局はずっと海外SFを刊行してきている早川書房が、日本の翻訳SF出版の中心的存在となっています。
こちらのページも更新! ケン・リュウ新作『生まれ変わり』もご紹介しています。
SFエンタテインメントの最前線! 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ【第4期】|Hayakawa Books & Magazines(β) @Hayakawashobo|note(ノート) https://t.co/e5aLgUGoN4
— 早川書房公式 (@Hayakawashobo) 2019年2月8日
その早川書房が全力投球して、いま読んで欲しいSFを読者に届けているのが、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」なのです。
マンガやアニメ、ゲーム、映画にもSFは多いですが、多くの作品のベースになっているのは海外のSF小説であることがほとんどです。
実際、アメリカや英国では、現在も日本よりもずっとSFの文芸活動が盛んです。
まとめ
いかがでしたか。
「SFは嫌いじゃないけど、どれから読めばいいのかわからない。」
「難しくて、マニアックなイメージが強い。」
そんなことを、ボヤいている皆さん。
今回、ご紹介した「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」は、読者の楽しさ、驚きを最優先にセレクトされた現在の傑作が、あなたを待っています。
「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」で、2000年代のSFの旅へでかけませんか?