もうすっかり日本でも市民権を得た「パスタ」。
お馴染みになったどころか、麺類大好きな我々日本人にとって、そのシンプルなおいしさは、毎日でも飽きない定番の一つとなっています。
今回は、その基礎知識と、一概にパスタと称されている食品における、様々な種類をご紹介します。
「パスタ」とは
実はこの言葉は、ラテン語の「練った粉」を語源とすることからもわかる通り、とても広い意味を持つものなのです。
1.小麦粉と水(または卵や塩、野菜の裏ごしなど)を練った麺類の総称
2.タルトや揚げ菓子など全般
3.食品以外でも歯磨き粉など、ペースト状のものを指す場合もある
一番馴染み深いパスタは1で、スパゲッティやマカロニがこの仲間です。
また、ソースと和えて、出来上がった状態のものを特にパスタシュッタ、パスタシュッテと呼ぶこともあります。
2についても、タルト生地はパスタフロッラ、ミルフィユ生地はパスタスフォーリャなどと細かく別名があり、大らかなイタリア人らしく、地方によって定義が全然違う事も。
また、イタリアのレストランでは、手打ちパスタの担当は、お菓子職人の場合が多いです。
パスタはもちろん、イタリアを発祥とする食べものです。
詳しい成り立ちは割愛しますが、素朴であるゆえにその歴史は古く、最古の記録では、おおよそ2000年前、庶民に広く普及したのは500年ほど前だと、言われています。
「パスタ」の種類
上記のように、パスタとは非常に広義な食品群であり、また麺については、服飾よろしく毎年新作コレクションが発表されるほどなので、全てをご紹介するのはとても不可能です。
ここでは、定義1(小麦粉と水などを練った麺類の総称)の中で、もっと日本人にも広まってほしいものや、珍しいものを一部挙げるに留めます。
長い土管のような姿「ブカティーニ」
Bucaは穴、つまり極太スパゲッティの中に穴が開いた、さながら長い土管のような姿をしています。
形状が形状だけに、茹で時間も長いですが、その分噛み締める旨みは強く、バターやチーズたっぷりのトマトソースと合わせるのが一般的です。
幅広の「きしめん」のような「パッパルデッレ」
幅広のきしめんのような帯状のパスタ。
らせん状のマカロニ系「フジッリ」「スピラーレ」
らせん状のマカロニ系パスタ。
このらせんの溝に、ソースがよく絡みます。
ブルーチーズを溶かし込んだクリームソースなどとよく合います。
フジッリに限らず、短いマカロニ系のパスタは、口に運びやすいので柔らかめに茹でれば、小さなお子さんのいるご家庭でも周りを汚しにくいので、おすすめですよ。
アバウトな形状「ストロッツァプレティ」
これもマカロニ系ですが、ぱっと見、白魚のような、何ともいえないアバウトな形をしたパスタです。
それもそのはず、作り方は生地を伸ばして、手で丸めるだけ。
しかし、「親子で手打ちパスタに挑戦!」などという時には、もってこいの簡単さといえます。
指輪や王冠の形「トルテッローニ」「トルテッリーニ」
舌を噛みそうな名前が続きますが、指輪や王冠の形をしたもの。
大きいサイズをトルテッローニ、小ぶりなものをトルテッリーニと呼びます。
複雑な形をしていますが、理解してしまえば非常に簡単で、正方形を半分に折る→直角部分を折り曲げる→鋭角部分をリング状にして繋げる、とわずか3ステップでできてしまいます。
挽肉や野菜を詰める場合もあり、その姿は水餃子にそっくり。
実際スープの中に入れて、寒い日の食卓を彩ることが一般的です。
形が楽しいので、こちらもお子さんと一緒に作るにはもってこいです。
「パスタ」の味わい方「パスタはすすらないで!」
これは、マナーではなく、味わい方のお話です。
ラーメンや蕎麦の文化が根強い日本では、どうしてもパスタをすすって食べてしまいがちですが、パスタ(特に卵なしで、太めの麺)の小麦粉の旨みというのは、奥歯でよく噛み締めて初めて分かるものなのです。
本文をご覧頂いた皆さん、ぜひ次は、お口に入るだけの量をフォークに取って、「ズルズル」ではなく「モグモグ」で召し上がってみてくださいね。
「パスタ」を作る【手打ちパスタ生地、レシピの例】
実際に「手打ちパスタを作ってみよう!」という方のための材料です。
筆者独自の配合なので、少しくらい割合が変わっても問題ないですよ。(4~5人分)
・用意するもの → パスタマシン、麺棒、はかり、広い台か大きいボウル
・材料 → 薄力粉200g、強力粉200g、卵黄4個、白ワインor水100cc、塩ひとつまみ
作り方は、火山の噴火口のように形作った粉類の中に、他の材料を入れて練るだけ。
水分は、かなり少なめに見積もっていますので、固すぎたらその都度、水分(変色を防ぐので、白ワインをお勧めします)を、ほんのスプーン一杯ずつ様子をみながら足していく。
一つにまとまり、ツヤツヤになれば、出来上がりです。
冷蔵庫で1時間くらい寝かせたら、麺棒で伸ばせるだけ伸ばしてから、パスタマシンで好みの厚さに伸ばします。
打ち粉は、粒子の粗い強力粉だけにしましょう。
あとは、塩を入れた熱湯でゆでるだけ。
厚さにもよりますが、1分~1分半もあれば充分です。
パスタマシンは、ハンドル式の手動タイプなら、比較的安価(3000~5000円)で手に入ります。
余った卵白は冷凍して、スープのあく取りやメレンゲ菓子に利用しましょう。
まとめ
いかがでしたか。
これほど多種多様な食に恵まれていても、やはり帰る所というか、日常的に食べたくなるものは限られています。
パスタはそうした「安堵」を憶える食品の代表だといえます。
もちろん、安上がりで腹持ちもよく、家計の強い味方でもあるので、ぜひスパゲッティ一辺倒から卒業して、色々なパスタを味わい尽くしてみてください。