「幻の柑橘」と呼ばれている「ヘベス」を皆さん、ご存知でしょうか?
ライムやカボス、スダチにも似ているが、その味わいはぜんぜん違い、甘く酸っぱく、香り高い。
今回は、そんな「ヘベス」をご紹介します。
どのような果実なのか?
ヘベスは、宮崎県の北部に位置する日向市が産地で、幻の柑橘とも言われています。
香酸柑橘類に属する果実で、レモンやライム、ユズ、スダチなどと同様です。
特長は、皮が薄くて種が少ないことで、さらに果汁がたっぷりと含まれていることです。
まろやかな酸味とさわやかな香りも特徴で、緑の鮮やかな皮は、様々な料理の調味料や薬味として活用されています。
このような特徴により、料理の香りづけやドリンクなどにも最適であることから、レモンやライムのように使えます。
名前の由来は、日向市富高村に住んでいた農家の黒木平兵衛さんが江戸時代末期に偶然見つけ、山に自生していた香り高い果実で気に入ったため付けられたようで、平兵衛さんから取り「ヘベス」と呼ぶようになったそうです。
なぜ幻なのか?
ヘベスは、外皮は濃いグリーンで、中は淡い黄色でライムのような感じですが、熟すと外皮は黄色くなります。
しかしながら、県外での流通は、年間生産量の150トンのうちごくわずかで、残りは地元の日向を中心とした地域で消費されています。
このことが、幻の果実と呼ばれる所以ですが、地元の日向では、ヘベスの木はとてもポピュラーで愛されています。
ヘベスの木は、風習として娘が嫁入りをする際に1本持たせるようになり、冠婚葬祭でも有名です。
このため、地元限定の果実という印象がありますが、全国区になっていないことが、特徴といえます。
吉祥寺の飲食店で話題に
2016年に、東京都の吉祥寺で、とある飲食店の店主が、日向出身の知人からもらったヘベスを気に入り、その魅力とポテンシャルの高さを知って、専門卸会社を設立したことが始まりです。
その後、吉祥寺の飲食店にて、ヘベスサワーやヘベスハイボールなどを提供する店が増え、いつの間にか、利用者に親しまれるようになったようです。
ヘベスって看板最近よく見るようになった #every #ヘベス #高橋若葉 pic.twitter.com/vC3LqkgkNu
— 丸山ちえ (@cheliotan) August 4, 2017
なぜ、利用者に親しまれるかといえば、やはり香りにあり、酸っぱすぎず爽やかでグリーンの外皮がおしゃれを演出しているためです。
また、かぼすやすだちといった他の香酸柑橘類と比べ、汁が多く出るため、コスパが良くなります。
以上のように、今までにはない斬新な香酸柑橘類になり、より多くの人に気に入られたようです。
栄養価が高い注目の柑橘
ヘベスは、アミノ酸の9種のうち8種が含まれているため、発がんの抑制や細胞を増殖することを防げることでも注目されています。
また、ナツダイダインというフラボノイド成分が含まれ、病気の予防にもつながり、かぼすやすだちにはないものが、ヘベスには多く含まれています。
このため、健康や美容などにも効果があるとのことで、いつしか注目されるようになり、幻の果実として口コミなどで人気です。
ヘベスの魅力やおいしさを体験できるカフェ
宮崎県日向市にある「arne_morimichi(アルネ森みち)」は、ヘベスの魅力やおいしさを体験できるカフェで、築80年の古民家をリノベーションしていることが特徴です。
周囲は田園地帯で、ゆったりとした雰囲気があり、素朴な中でも洗練された感じがします。
この店のオーナーは日向市出身で、ヘベスを農家自身がドリンクやフードにして提供する唯一の店としてオープンしました。
メニューは、スイーツやソーダなどが定番ですが、キッシュやジャムなど、他の店では味わえないものも作っていて注目度が高いです。
ヘベスの魅力は香りや味わいで、ほかの香酸柑橘類では味わえないものがあるため、少数派ながら今後は注目されそうです。
まとめ
いかがでしたか。
宮崎県日向市で生産されたヘベスは、ほかの香酸柑橘類にはない香りや味わいで人気を博し、吉祥寺の飲食店がドリンクのメニューとして取り入れたことで注目されました。
また、宮崎県日向市にも、地元でとれたヘベスを使ってスイーツやドリンクなどを販売し、自然豊かな場所で味わえるよう古民家をリノベーションして作られたカフェもあります。
出典:日向の平兵衛酢(へべす)
ヘベスは美容や健康などにも効果があり、がんなどの病気を防げるため魔法の果実としても有名です。
このように、ヘベスは知名度こそ低いものの、幅広い魅力があることで今後は注目されること間違いなしです。