たまご売り場で、「Mサイズ」や「Lサイズ」などの大きさの違いを目にすることがありますが、実際はなにが違うのでしょうか?
なんとなく、
「真ん中の「Mサイズ」を選べば無難かな」
とか、あまり深く考えたことがない、たまごのサイズをクローズアップします。
そもそも、たまごってどうやってできるのか!?
出典:生物史から、自然の摂理を読み解く(http://www.seibutsushi.net/blog/2008/01/379.html)
にわとりのたまごは、70~75センチメートルの長さに及ぶ、哺乳類や鳥類に存在する卵巣と子宮を結ぶ管(輸卵管)の中でつくられます。
まず、卵巣で黄身の元が蓄えられたあと、次第に大きくなり卵管に送られます。
この卵管では黄身が送られてくると、卵白が分泌され、約3時間かかって白身が黄身を包みこみます。
そして、白身のまわりに約1時間30分かけて、薄い膜を作ります。
白身が薄い膜(卵殻膜)で包まれると、この膜にツブツブの乳頭核が付着します。
そこへ、カルサイトという炭酸カルシウムが付着して、乳頭層を作ります。
その上に、さらにタンパク質で出来た網目状の繊維が張り巡らされ、さらにカルサイトという炭酸カルシウムが沈着し成長していくことで、殻が形成されていきます。
白身が膜で包まれ、卵殻腺部(子宮)に運ばれてから、約20時間かかる、たまごの工程の中で最も時間の掛かる工程です。
殻ができたら、3~5分で私たちになじみのある「卵」になって出てきます。
サイズはどうやって決めている?
にわとりのたまごの規格は、農林水産省で定めた鶏卵規格取引要綱によって、定められています。
にわとりのたまごの大小は重量で表され、種類の表示を補足するための色分けは、以下のように区分されています。
出典:農林水産省(http://www.maff.go.jp/kinki/seisan/chikusan/syouhikakudai/eggreport/pdf/lavel.pdf)
ただし、下記の重量区分に合っていないミックス卵(MS~LL)などは、規格卵とはいえません。
サイズ違いができる理由
たまごのサイズは、たまごを産むにわとりが生まれてから何ヶ月か(月齢)によって変わってきます。
若いにわとりが産むたまごは小さく、成長したにわとりが産むたまごは大きくなります。
出典:山田鶏卵 山田ガーデンファーム (http://www.yamada-egg.com/blog/tamago/)
Sサイズは生後4~5ヶ月、Mサイズは生後6~12ヶ月、Lサイズは生後10~24ヶ月、LLサイズは生後18ヶ月以上となります。
理由は、にわとりが成長すると卵管が発達するためです。
卵管が発達すると、白身の分泌が増えるため、作られるたまごの重量も大きくなるというわけです。
決して、にわとりが大きくなったから、産むたまごも大きくなるというわけではありません。
そのような理由により、SサイズとLLサイズのたまごを比べたとき、黄身の大きさはあまり変わりません。
どのサイズを選べばいいの?
前述のとおり、たまごのサイズが大きくても黄身の大きさは大差なく、卵白部分が多くなる傾向になります。
これを踏まえたうえで、料理にあわせてたまごのサイズを決めるのがベターです。
卵白を多めに使う料理や、卵白を使ったスイーツを作る時は、大きな卵を選び、黄身だけとか、黄身を引き立たせたい料理の場合は、小さなたまごを使えば効率的においしく仕上げることができます。
目玉焼き、スクランブルエッグ、オムレツなどは、たまごの黄身の部分をメイン使うため、Sサイズを使った方が効率が良いでしょう。
メレンゲは白身のみ、茶碗蒸しも白身を多く使うため、白身の比率が高い、大きいサイズのたまごを使った方がおいしく仕上がります。
まとめ
- たまごのサイズは、ニワトリの月齢によって異なる。
- ニワトリは成長するにつれ卵管が太くなり、そこで分泌される白身(卵白)が増えて卵が大きくなる。
- たまごのサイズによって変わるのは卵白の量だけで、黄身の大きさはあまり変化はない。
- よって、料理にあわせてたまごのサイズを決めるのがベター。