近年、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の利用者が増加しています。
将来の公的年金の受給に不安が残るため、国からの補助は当てにせずに、個人の力で定年後の生活費を確保しようというのが、iDeCoへの加入が増えている要因です。
実は、iDeCoへの資金の拠出は従来、毎月1回の月単位になっていましたが、2018年の制度改正によって、年1回以上の拠出というルールに変更されました。
ただし、加入者の条件ごとの年間拠出上限額は、改正前と変わらず(月間拠出上限額×12ヶ月)、また1回当りの拠出額の下限は5,000円ということも変更されません。
iDeCoとは
国民年金や厚生年金などの公的年金は、国によって年金保険料が定められていますが、iDeCoは私的年金であるため、掛け金は自分で決めることができます。
なお、私的年金ではあっても、拠出額の全額が所得控除の対象となるため、拠出した金額分が所得税の節税につながります。
拠出額が月単位から年単位へ変更
掛け金の拠出が、月単位から年単位に変更されたことで、「毎月掛け金を拠出しなければならない」という制約が無くなり、数ヶ月分の掛け金をまとめて拠出したり、ボーナス時にまとめて拠出したりすることが可能になりました。
つまり、1ヶ月ごとの家計の収支ではなく、1年間の収支を見て拠出額を決定できます。
それだけ、iDeCoへの加入がしやすくなりました。
例えば、月単位の場合だと、毎月1回一定額を拠出しなければならないため、月給の中から1万円しか用意できないと、年間で12万円しか拠出できません。
ところが、年単位になれば、ボーナスの中からまとまった額を、追加で拠出できることになります(年間拠出上限額の範囲内)。
それだけ、柔軟な拠出ができるということです。
未納額分の追加拠出が可能
制度改正以前は、年度初めに拠出額を決定し、1年間はその金額で拠出しなければなりませんでした。
つまり、年度途中での拠出額の増減は、認められていませんでした。
例えば、商店主が月の拠出額を2万円に設定していたとします。
その場合は、年間で24万円の拠出となりますが、仮に何らかの理由で1ヶ月分の拠出ができなかったとすると、年間の拠出額は22万円に減少します。
次月に追納する、ということはできません。
ところが、制度改正によって年単位になったため、仮に当月2万円を拠出できなかったとしても、次月に4万円を拠出することでカバーすることができます。
ちなみに、商店主の年間拠出限度額は、81万6,000円(68,000円×12ヶ月)であるため、年度末に57万6,000円(81万6,000円-24万円)を追加で拠出することも可能です。
年間計画の届け出が必要
制度改正によって、柔軟な拠出ができるようになったとはいえ、自由気ままに拠出できるわけではなく、年度初めに「年間計画」を提出し、年間計画の範囲内で拠出しなければなりません。
毎月一定の掛け金を拠出しても構いませんし、特定月にまとめて拠出することも可能です。
なお、年度初めの1月に、年間計画額を前納することはできません。
手数料を節約
大した金額にはなりませんが、iDeCoは年1回の拠出が可能なため、拠出における手数料を節約できます。
iDeCoでは掛け金の拠出において、1回に付き事務手数料が103円かかります。
従って、月に1回12ヶ月拠出すると1,236円(103円×12ヶ月)を取られますが、年1回まとめて拠出すれば103円で済みます。
拠出下限額の変更は無し
拠出下限額においては変更が無く、最低拠出額は5,000円です。
従って、年間で6万円を拠出しなければなりません。
まとめ
今回の制度改正で、iDeCoへの加入が容易になりました。
特に、年収におけるボーナスなどの臨時収入の比率の高い人とっては、メリットの大きい改正になっています。
月々の生活費から支出することは厳しくても、年間ベースであれば対応できる人にとっては有利な改正となっています。