藤井聡太六段(現在)の大活躍で、注目されている将棋棋士という職業ですが、この将棋で収入を得られるプロ棋士になるにはどうしたらいいのでしょうか?
更に、このプロ棋士はどのように収入を得ているのか、という点なども合わせて解説していきます。
奨励会に入会するところから始まります
将棋のプロ棋士を目指すには、まず奨励会(正式には新進棋士奨励会)に入会しないといけません。
その為には、年に一度行われる入会試験に合格する必要がありますが、受験するには現役のプロ棋士からの推薦が必須です。
この推薦を受けるには、日本将棋連盟が主宰する大会で良い成績をあげたり、将棋教室などでトップクラスの実力が必要です。
奨励会の受験条件の1つに、19歳以下という条件がありますが、実際には15歳くらいまでの受験者がほとんどです。
それくらいの年齢で、既にアマチュアのトップに迫る実力がないと、受験さえできないのです。
奨励会に入った後は?昇級、昇段や退会について
奨励会の受験に合格すると、毎月2回の対局日に将棋会館(関東と関西に分かれています)で、奨励会員同士の対局を行います。
この結果によって昇級、昇段を繰り返し、四段まで昇段すると、晴れてプロ棋士になることができるのです。
昇級や昇段にはルールがあり、奨励会に入った当初は六級からスタートしますが、21歳になるまでに初段まで昇段できないと、その時点で強制的に退会となってしまいます。
また、26歳までに四段まで上がれない場合も、同様に退会となります。
ただし、その時点で三段まで昇段しており、四段を目指す三段リーグ戦で勝ち越している場合のみ、次期の三段リーグにも参加できますが、一度でも負け越すか、30歳になるとそこで退会となります。
奨励会は、このような完全な実力の世界なので、早い年齢から入会するに越したことはないのです。
三段編入試験というものもあります
奨励会には、ここまでに挙げてきたように、原則的にプロ棋士の推薦を受けた子供が受験を経て六級から入会します。
しかし、日本将棋連盟が公認しているアマチュア6大棋戦と呼ばれるアマチュア名人戦やアマチュア竜王戦などで優勝すると、三段への編入試験を受ける資格が得られます。
この試験に年齢制限はなく、合格すれば三段リーグに2年間、四期だけ在籍することが認められ、その間に昇格条件を満たせば四段としてプロ棋士になることができます。
尚、この編入試験で合格した人は現在までに1人だけです。
現役の奨励会員が相手の受験になるので、いくらアマチュアのトップクラスとは言っても簡単な試験ではありません。
1年間にプロになれる人数
奨励会で四段まで昇段して、初めてプロ棋士になれる訳ですが、三段から四段になれるのは各開催の三段リーグで上位の2人だけです。
三段リーグは1開催が半年間で、年間に2回の開催なので、1年にプロ棋士になれるのは4人だけなのです。
また、リーグで3位の成績(いわゆる次点)を2回獲っても、四段に昇段できるというルールがあり、これを利用してプロになった棋士も存在します。
このルールを適用した昇段があった場合には、年間に5人以上のプロ棋士が誕生することもありますが、それでも狭き門には変わりません。
三段リーグは30~40人程度の人数での開催なので、三段までは順調に昇段してきても、ここで躓いてしまう人も少なくありません。
尚、二段までは関東と関西に分けられていますが、三段リーグでは全ての三段が一緒になります。
プロになった後の収入はどれくらい?
プロ棋士には、各棋戦やタイトル戦への参加が義務付けられており、これらの対局を行うことで対局料を得ることができます。
これがプロ棋士の主な収入源です。
各棋戦やタイトル戦は、基本的にトーナメント式なので、勝ち残るほど対局が増えて収入が多くなり、すぐに敗退してしまうとあまり収入にならないという実力の世界です。
棋戦のトーナメントで優勝したり、タイトルを獲得すればかなりの高収入も期待でき、中には年収が1億円近い棋士も存在しますが、ほとんど勝てないようだと年収にして200~300万円程度なのが現実です。
よって、同じプロ棋士でも収入には結構な格差があると言っていいでしょう。
この対局料以外では、個人的に将棋教室を開いたり、企業の将棋イベントに呼ばれるなどの収入が期待できますが、ある程度有名にならないとこの手の収入に期待するのは難しいことが多いです。
プロ棋士にもクラス分けがあります
プロ棋士には、名人を含むA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組、フリークラスという6つのクラス分けがあり、順位戦と呼ばれる1年間を掛けて行われるリーグ戦で、このクラスの昇級、降級を争います。
一番下のフリークラスまで落ちてしまうと、順位戦に参加できなくなってしまい、規定の成績を上げて、C級2組に昇級できないまま10年間が経過すると、強制的に引退となります。
過去には、プロ棋士になって13年間で引退となってしまった棋士も居るほどです。
このように、プロ棋士はプロになった後も決して油断できない、大変厳しい世界なのです。
覚悟が必要になる世界です
いかがでしたか。
何と言っても、プロになれれば自分の好きな将棋だけで、生計を立てることができる点から、奨励会の入会試験では、毎年多数の受験者が入会を競い合っています。
近年では、最初に書いたような藤井棋士の活躍もあって、将棋の人気は更に上がっていると言っていいでしょう。
ただし、本当に厳しい世界に足を踏み入れることになるので、プロを目指すには将棋の実力だけでなく、相応の覚悟も必要だということは覚えておかないといけません。