6月11日は、「傘の日」
暦の上での「入梅」がこの日になることが多いことから、日本洋傘振興協議会が制定しました。
平年5月初旬に梅雨が始まり6月下旬に終わる沖縄・奄美から、6月中旬に始まり7月下旬に終わる東北地方北部まで、傘の日を挟んでジメジメと雨の多い日が続きます。
外出や家事などの活動には嫌な季節ですが、社会人たるもの、雨だからといって家の中でじっとしているわけにはいきません。
そんなとき、手軽に買えるビニール傘もいいですが、開くのがうれしくなるような傘と一緒から気分もちょっと上向きます。
雨の季節と毛嫌いせずに、傘を楽しんでみませんか。
傘の雑学「洋傘の歴史」
傘はもともと「雨をよける」ためのものでなかったことは、ご存じでしょうか。
英語の「傘(umbrella)」という単語は、ラテン語の「umbra=影」がもと。
つまり、「影を作る=日よけ」が傘の語源なのです。
陽射しが強い古代ローマやエジプトでは、宗教儀礼などの時に、ずっと外で太陽の光を受けているのはとても大変。
そこで権力者は、従者や奴隷に陽射しを遮る傘を持たせ、焼けつく暑さを避けていたのです。
もちろん、現代の傘のように軽くはなく、それどころか権力を象徴するためのさまざまな装飾が施された、とても重たいものでした。
雨具として傘が使われだしたのは、17世紀に入ってからの事といわれています。
しかし、それも女性が使うものであり、男性が傘を雨よけとして使うようになるのは、19世紀に入ってからだそうです。
ちなみに、英語の「パラソル(parasol)は、umbrellaと異なり「日傘」のことだけを指します。
こちらはイタリア語起源で、「parare(防護する)」と「sole(太陽)」が組み合わさったものです。
傘の雑学「和傘の歴史」
ところで、日本でも古くから傘は使われてきました。
日本書紀にも、百済の王から、絹張りの傘が贈られたことが記載されています。
平安時代の絵巻物にも和傘が描かれていますが、現在のような形ではなく、天蓋や覆い状のような物でした。
用途も西洋と同じように、権力者のための日除けや魔除け、権威の象徴として使用されました。
長い間、庶民の雨具といえば菅笠(すげがさ)と蓑(みの)であり、傘が一般に普及するのは、江戸時代中期(18世紀)以降のことといわれています。
江戸の浮世絵師、歌川広重の書いた「大はしあたけの夕立」には、激しく降る夕立に傘をすぼめて急ぐ町人の姿が、生き生きと描かれていますが、これは1857年ごろの作品。
傘が雨よけとして使われ始めたのも、日本と西洋でそれほどの差はなかったようです。
傘のマナー
傘の開閉や持ち歩き方、電車やバス、階段でのふるまい方など、傘のマナーを再確認しましょう。
「傘を閉じるとき」
周囲に気を配り、他人様に水をかけないように気をつけるのは常識ですが、閉じるときの傘の向きにも気をつけましょう。
駅やビルの入口などで、さしていた傘をぱっと横にして閉じる人が多いですが、先端がだれかに当たってしまうかもしれません。
まず上に向けたまま少し閉じ、下に向けてから全部を閉じるようにしましょう。
「電車に乗っているとき」
乗車する前にできるだけ水滴をきり、傘を巻いてベルトで留めてから乗り込みましょう。
傘の水滴が、他人の服につかないように注意するのはもちろん、先端から垂れる滴が、他人の靴の上に落ちないように気をつけます。
最近、折りたたんだ時に濡れた面が内側に来る、画期的な折りたたみ傘が開発されたようです。
まだ、高価な商品ですが、興味のある人は調べてみてはいかかでしょうか。
「階段やエスカレーターで」
階段やエスカレーターを昇るとき、持っている傘を斜め後ろに向けている人を、ときどき見かけます。
これは、後ろの人に滴が飛ぶだけでなく、先端がぶつかる可能性もあってとても危険。
とくに後ろに子どもがいる場合は、ちょうど顔の高さに当たります。
傘はまっすぐ下に向けて持つようにしましょう。
これは便利?楽しい?傘のいろいろ
最近の傘の種類も、百花繚乱。
強風対策や画期的な折りたたみ機構の搭載など、まじめに性能を追求した高価なものから、カワイイを追求したもの、おふざけとしか思えないデザインのものまで、さまざまな傘が販売されています。
気分に合わせて、持っていく傘の種類を変えている人も、多いのではないでしょうか。
ただ、機能性を追求した傘でも、ものによっては看板倒れのこともあるようです。
「風に強いと聞いていたのに、ビル風で簡単に裏返った」
とか、
「軽いのはいいけど、すぐに曲がってしまった」
など・・・。
実際に、手に取ってみることのできる店舗での購入はともかく、ネットで購入する際には、口コミなども参考にしたほうがよいかもしれません。
「国内唯一のビニール傘」
ビニール傘を世界で最初に販売した会社が、日本にあったのをご存じでしょうか。
1953年の販売以来、現在にいたるまでビニール傘を作り続け、多くの会社が撤退した今、国内でビニール傘を作る唯一の会社になっています。
この会社が製作、販売するビニール傘は、大きい&丈夫&視界がクリアであると定評があり、選挙カーの上で手を振る候補者の雨の日の定番としても有名です。
また、イチロー選手も愛用しており、雨の日に大切な用具を守るために利用しているシーンがスポーツ紙に掲載されたことがあります。
園遊会で皇室の方がお使いになったことで有名になった写真の商品「縁結(えんゆう)」も、この会社の商品です。
「十六夜(いざよい)」は、16本の骨を持つ丈夫な傘を女性用にアレンジしたオシャレな逸品。
ウッディな骨やハンドルが、雰囲気を出しています。
「両手が自由になる肩掛け傘」
荷物が多いときに、片手が傘に取られるのは結構つらいもの。
「両手を自由に使える傘があったら便利なのだが・・・」
と思っていたら、もうありました。
出典:サンコー株式会社
「肩掛け傘」といいながらも、実際には肩だけでなく脇でも傘をしっかり支える構造なので、少々の風が吹いても問題なく使えそうです。
とはいえ、強力な台風やビル風にはちょっと厳しそうなので、そこは注意が必要。
普段は手で持ちつつ、いざという時には両手が使えると考えれば、なかなか良い選択かもしれません。
「なかなかリアルな質感」
こちらは、ベジタブレラ。
その名の通り、ベジタブル(野菜)をモチーフにした面白系のアンブレラ(傘)です。
レタスみたいな傘とのことですが、閉じたときに白菜に見えなくもないのもご愛嬌。
差すと頭の上に緑が広がり、この季節の木々の緑とあいまって、とってもエコな気分になること請け合いです。
「わんちゃん用の雨傘」
雨の日だって、愛犬の散歩は欠かせない。
そんな人向けの商品がこちら。
人間用の傘をさかさまにしたような形で、リード部分を首輪に装着します。
レインコートを着るのを嫌がるわんちゃんにもぴったり。英国で大ヒットしたとのことです。
まとめ
いかがでしたか?
雨の日は憂鬱になりがちですが、傘を「雨の日を楽しむ大人のお洒落」として利用してみてはどうでしょうか。