皆さんは、「マコモダケ」という秋の味覚をご存じでしょうか?
まだメジャーな食材とは言えないようですが、近年注目を集めている伝統野菜なのです。
旬の秋に採れた新鮮なマコモダケをシンプルな調理法で食べると、これがおいしい!
知っている人は「何をいまさら」と思うかもしれませんが、そうじゃない人はこの機会に、イチオシな「マコモダケ」のことをぜひ知ってください。
マコモダケの基礎知識
「名前は聞いたことあるけど、どんなものかはよく知らない」
「ましてや、食べたことなんかない」
という人も多いと思います。
マコモダケは、沼や川や田んぼなどの水辺に群生する「マコモ」という植物の根元にできる、肥大した茎の部分を指します。
茎が肥大する原因は、マコモに寄生する黒穂菌(くろぼきん)によるもの。
この菌の影響で、膨らんで太くなった茎の部分が、マコモダケと呼ばれます。
このマコモダケ、味はクセが少なく、やわらかいタケノコのような歯ざわりとほのかな甘み、ヤングコーンのような香りがあり、中華料理では昔からよく使われる食材のひとつです。
触感や食味が非常に良いにもかかわらず、日本国内ではあまり知られていない食材でしたが、近年、休耕田を活用した水田転作物として注目されるようになってきています。
身体によいとされる、さまざまな効能も発見されており、健康食材としてマコモダケを栽培して、地域の名物にしていこう、という動きも各地で見られるようになってきました。
マコモサミット開催
2016年10月には、福井県で「第9回全国マコモサミット」が開催されました。
メディアで取り上げられる機会も増えてきており、マコモダケが身近な食材になる日も近いかもしれません。
日本の旬は、地方によって差はありますが、おおむね9月中旬から11月の間のわずか2か月弱。
もし手に入る機会があれば、ぜひ入手して食べてみてください。
マコモ(真菰)は古代の日常食だった?
マコモは、イネ科の多年草で、春に芽を出して、夏には2メートルほどにも成長します。
驚くことに、1億年くらい前から現代にいたるまで姿が変わっていない、とてもめずらしい植物だそうです。
日本に稲作が渡来するまでは、日常食として食べられていたそうで、縄文中期の遺跡からも雑穀やドングリなどと共に出土しています。
古代の人にとっては、とても馴染みのある食材だったようで、万葉集には「コモ」を詠んだ歌が、20以上も収録されているのです(「コモ」はマコモのこと)
また、出雲大社では毎年6月1日に涼殿祭(すずみどのまつり)が執り行われますが、これは別名「真菰(まこも)の神事」。
盛られた立砂の上に敷かれた真菰の上を、宮司が大御幣と共に参進祈念する神事で、その時に敷かれていた真菰を頂くと、病気にかからないとの信仰があり、信者は競ってもらい受け、神棚に祀ります。
マコモダケを食する
加熱しすぎると、柔らかくなって歯ごたえがなくなるので、焼くにしても煮るにしても、さっと火を通すのがポイントです。
いろいろな食べ方が楽しめます。
素焼き
素焼きにして、塩や田楽みそなどで食べるシンプルな食べ方。
魚焼きグリルでも簡単に焼けて、タケノコのような食感を楽しめます。
ちなみに、マコモダケに見える黒い斑点は「マコモズミ」。
収穫が遅かったり、収穫から時間が経ったりすると現れるもので、食べても毒ではありませんが、見た目や食感が劣ります。
マコモダケは足がはやいので、購入したらなるべく早く食べるようにしましょう。
炒め物
他の野菜や、ばら肉などと一緒に炒めていただきます。
味付けは、和風でも中華風でもok。
他にもあります!いろいろな食べ方
他にも、素朴な甘みが出る炊き込みご飯や、塩ゆでしてサラダやそばと一緒に楽しむなど、いろいろな食材と合わせることができます。
まとめ
いかがでしたか。
このように、マコモは日本人の暮らしと切っても切り離せない存在で、いつしか聖なる草・癒しの草、霊草として扱われるようになりました。
そんなマコモダケをいろいろな食べ方で、楽しんでみてはいかかでしょうか。