「関西3空港」は、大阪湾を囲む3つの主要空港の総称です。
その3空港とは、伊丹空港(大阪国際)、関西国際空港、神戸空港の3つです。
羽田空港と成田空港を「関東2空港」とか言わないのに対して、「関西3空港」と言われる理由は、群をなしているような近さもありますが、いざなり合うような歴史と機能があるからでしょう。
今回は、この「関西3空港」の3つの空港の生い立ちと現状、これからを見てみたいと思います。
3空港の開港について
まず、3空港の開港の歴史を見てみましょう。
まずはじめに1950年代に大阪国際空港、別名伊丹空港ができました。
中心地に近く便利だったのですが、その立地ゆえに騒音問題や排気ガスの問題でいみ嫌われ、訴訟が相次ぎました。
それに代わるべく、1994年に関西国際空港が開港し、国際線を一気に担う事になりました。
この時から、大阪国際空港はその役目を終える流れでしたが、立地の良さから国内線だけでもと残されることになったのです。
最後に、神戸空港が2006年に市営空港として開港しました。
3つの中では、阪神淡路大震災など、一番開港までに苦労のあった空港です。
3空港の規模と役割
次に、大まかな3つの空港の役割と規模をみてみましょう。
規模の大きさや役割など、言わばパワフルさを見ていくと関西国際空港、大阪国際空港、神戸空港の順になります。
関西国際空港が断トツでパワフル、目立っています。
その主な理由が「国際線を一手に担っている」ことと、「発着枠の制限がない」ことです。
最近は、外国人観光客が京都などにわんさと押し寄せていて、その人たちがみんな関西国際空港からこの地方に入って来ます。
「関西の発展に貢献していると褒めたたえられている」のは、関西3空港の中でここだけです。
「えっ、伊丹空港だって国際でしょ?」と思われた方もいらっしゃいますよね。
もともとは伊丹空港だけでしたから、もちろん国際線も来ていました。
でも、関西国際空港ができてからは、実は来ていないのです。
立地としては、中心部に近いので好条件ですが、やはり国際線がないこともあり、一番手との力の開きは大きいです。
発着枠の上限も設けられています。
三番手の神戸空港はもちろん国内線だけですし、規模はさらに小さいです。
発着枠の上限も、伊丹空港の6分の1に留まっています。
場所的には、当然関西の中心なのですから、関西3空港の一つには違いありませんが、これを入れるかなという位の開きはあるでしょう。
以下に、データの流れを指標や時間軸で表現するのに便利な、Alluvial diagrams(アルビアルダイアグラム)を用いて、関西3空港国内線のエアライン別就航都市・便数(2019年5月時点)を表現してみました。
関西国際空港 国内線 エアライン別就航都市・便数(2019年5月時点)
神戸空港 国内線 エアライン別就航都市・便数(2019年5月時点)
大阪国際空港(伊丹) 国内線 エアライン別就航都市・便数(2019年5月時点)
伊丹空港と神戸空港のさらなる活用を
今後、2020年の東京五輪、2025年の大阪万博を前に、ますます外国人観光客の増加が見込まれています。
そのため「大阪国際空港、神戸空港にも国際便を発着させなければ」ということは、議論されています。
実は、関西3空港懇談会というのが、必要に応じた時期に断続的に開催されています。
空港関係者だけでなく国土交通省の他、経団連会長や大阪府知事、地元の自治体なんかも参加して、3空港のあり方について話し合われます。
そこでも、他2空港の国際線導入と、便数や時間の制限などの解禁に関する意見も、出て来ています。
議論が活発になったのは、関西国際空港が台風21号のダメージで使えなくなり、もう少しで「大阪国際空港を国際線発着に臨時で使おう」という所まで来ていたことも理由の一つです。
復旧が早かったため、そうはなりませんでしたが、結果、他空港の国際線乗り入れの必要性について、考えざるを得なくなったことは事実です。
まとめ
いかがでしたか。
現在、外国人観光客の増加や災害などに備えて、国際線および国内線の規模を神戸空港、伊丹空港にも分散させる必要性が叫ばれています。
関西3空港懇談会が機能して、騒音や公害の問題を考えながら神戸空港、伊丹空港のさらなる活用を期待したいですね。