F1と言えば、誰もが知っている世界最高峰の自動車レースです。
市販車ベースの車で争うGT系のレースとは違い、専用に作られたスーパーマシンでその速さを競うことから、世界中に多くのファンが居ることでも知られています。
このF1に出場するマシンは、度々そのレギュレーションが変わっており、各チームはその都度それに合ったマシンを作って参戦しています。
ここでは、そのレギュレーションが、時代によってどのように推移してきたのかを、見ていきたいと思います。
F1の誕生当時~加給エンジン廃止まで
F1マシンのレギュレーションで一番大きな変更となるのは、エンジン(パワーユニット)だと言っていいでしょう。
このF1レースが誕生した当時は、これが4.5リットルまでのNAエンジン、または1.5リットルまでの加給エンジンとなっていました。
加給エンジンは、自然吸気のNAエンジンに比べて、同じ排気量で大きなパワーを発揮することができるので、どちらを選んでも大体同じく450馬力程度まで出すことができました。
また、この頃からしばらくは可変パーツが使用可能で、走行中に自由に動かせるウイングを搭載していたり、6輪の車もありました。
その為、各チームともオリジナリティのある車で参戦していたのが、特徴的でした。
F1レースは1950年から始まりましたが、その年から1953年までは上記のレギュレーションで、1954~1960年はエンジンが2.5リットルまでのNA、または0.75リットルまでの加給エンジンとパワーダウンしました。
これは、まだ車の総合的な技術がまだ未熟だった時代だったので、レース中の事故も多発していたことが理由だと言われています。
これによって、エンジンは300馬力程度まで落ちました。
そして、1961~1965年のレギュレーションでは、ついに加給エンジンが廃止となり、1.5リッターまでのNAエンジンのみとなります。
ここまでパワーを落としたことで、事故は激減しましたが、その反面、こうなると当時の高級なスポーツカーとあまり変わらない馬力になってしまい、F1レースとしての魅力が無くなってしまいました。
加給エンジン復活~再び廃止まで
当時の技術では、1.5リッターまでのNAエンジンでは、200馬力強がいいところでした。
さすがにそれでは、最高峰の自動車レースとは言い難く、人気も目に見えて落ちてしまった為、1966~1986年までの間は3リッターまでのNA、または1.5リッターまでの加給エンジンというレギュレーションに変更されました。
この変更はかなり好評で、この期間の末期には、1.5リッターのターボエンジンを搭載した900馬力近い車まで出てきました。
しかし、どのチームもそのような高馬力のターボエンジンばかりになり、面白味が無くなってしまったことから、次の1987~1988年の2年間は、NAエンジンを3.5リットルまでに変更しました。
しかし、それでもターボエンジンの方が馬力が出せることには変わらず、1989年からは加給エンジンは再び廃止となったのです。
自然吸気エンジンの時代になりました
1989~1994年までは、3.5リッターまでのNAエンジンのみ、また、可変パーツや6輪車もこの頃から禁止になりました。
この期間には、チームによってアクティブサスペンションといった、更なる最新技術も投入されましたが、それを搭載することのできるほど、金銭面に余裕のあるチームとの差が開いてしまうことから、そのような技術は序々に禁止になっていきます。
F1は世界最高峰の技術を競うレースでもありますが、あくまでドライバー同士の争いこそが本来の意味でのレースだからです。
この後、1995~2005年の10年間は、3リッターまでのNAエンジン、2006~2013年は2.4リッターまでのNAエンジンと、どんどん排気量が落ちていきますが、技術の進歩から最低でも700馬力程度はキープできていました。
2.4リッターのNAで700馬力とは、市販車では考えられないパワーで、これこそがF1マシンの技術力だと言えるでしょう。
そして、時代はハイブリッドに
2014年からは自然吸気エンジンではなく、再び1.6リッターまでの加給エンジンになりましたが、ハイブリッドとしてモーターも同時に活用することが義務付けられました。
これは、昨今の環境性能も考えた市販のハイブリッドカーの流行りを、取り入れた形だと考えていいでしょう。
パワーは、モーターの分も合わせると900馬力を超えるくらいまで上がりましたが、安全性の面でも昔とは大違いなので、このレギュレーションになった後でも、大きな事故は発生していません。
まとめ
いかがでしたか。
F1マシンのレギュレーションは、このように推移してきました。
現在ではハイブリッドになっているように、その時代時代に合わせて考えられてきたもので、これから先どのように変わっていくのかにも、注目していきたいと思います。