【船にだって存在する「海の交通ルール」】信号のない海上の交通ルールはいったいどうなっているのか? ~海には道路が無い。だからこそ守るルールがある。~

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皆さんは、車を運転することはあるでしょうか?

道路には線が引いてあり、道路標識もいたる所にあって、信号もあります。

しかし、海の上はどうでしょうか?

海には、道路もなければ信号もありません。

では実際、どのようにして船同士がぶつからないように航行しているのでしょうか?

「道路交通法」の海版が存在する

実は、車が道路を走行する場合は「道路交通法」という法律があるように、船にも同じように「海上衝突予防法」という法律が存在します。

この法律に基づき、船はぶつからないように航行しなければなりません。

車であれば、大きい道路を走行している車両の方が、小さい道から流入しようとしている車よりも優先して走行することができます。

一方、船の場合はお互いの船の見合う位置で、優先して航走して良い船が決まります。

出典:玉野海上保安部

例えば、自分が運転している船の右前方の海域から、自船の前を横切って左前方の海域に横切るように交差して、進路を航行してきているとしましょう。

このまま、自分の船も相手船も同じスピードと針路で進んでいては、衝突してしまうような事態が生じる可能性がある場合は、自分の船の方が、相手船の針路を譲ってあげないとなりません。

このように、海上衝突予防法では、自船が相手船を右側に見ていて、自船の針路を横切る見合い関係の場合、「相手船を右に見る船が、相手船の針路を譲らなければならい」ということが法律で定められているのです。

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狭い水路では「航路」がある!

先述のとおり、海には道路がありません。

しかし、瀬戸内海のように狭い水道や、船が沢山行きかうような東京湾や伊勢湾には、自動車で言うところの「道路」と同じく、「航路」が定められています。

出典:小松島港湾・空港整備事務所

航路と言っても、海に線は引けないため、航路の両端は緑色と赤色の「航路標識」と呼ばれる海上に突き出した道路標識のようなものが、等間隔に一列に並んで設置されており、船はその航路標識の間を通って航路の中を通るわけです。

狭い水道では、航路の幅もあまり確保できないことから、航路ごとに「東に向かって航行する船が優先」だとか、「この航路は北向けの一方通行の航路」といったようなルールが定められています。

出典:緑星社

航路の幅を確保できるような水道の場合は、航路の赤色及び緑色の航路標識のほかに、道路で言う中央線と同じ意味の赤色と白色の縦縞模様の航路標識で、航路の中央線を示しているところもあります。

日本での船の航法は、車の道路走行と反対で、右側通行が原則です。

そのため、中央の航路標識が有っても無くても、航路の右側をなるべく航行するというのは常識となっています。

潮流の向きによって航路の進む方向が変わる特殊な航路「来島海峡航路」

愛媛県今治市にある来島付近は狭い水道がありますが、それに加えて、潮の流れもとても速い場所で有名です。

来島付近にある「馬島」という島の東側と西側に航路が設けられており、各々東側を「中水道」、西側を「西水道」と呼んでいます。

出典:しまなみ

船は、潮の流れに逆らって進む場合、舵に水が当たりやすくなることから、簡単に操舵を左右に曲げることで船の針路を変えることができますが、船の進む方向と同じ方向に潮も流れている場合は舵の効きが悪くなるため、なかなか針路を曲げることが難しくなります。

出典:しまなみ

西水道は少し湾曲した水路であり、このように舵の効きが悪い中で進むのは大変危険なため、潮の流れが進みたい方向と同じ方向に流れている「順潮」の場合は中水道を通り、逆向きの潮の流れである「逆潮」の場合は西水道を通りなさいという、「順中逆西」の形式を執る、他の航路には見られないルールがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

船は自動車とは違い、地形や潮の流れといった自然現象により、航行のルールが大きく変化することがあるのです。

日本は四方が海に囲まれていることから、船による海上物流によって国民の生活が支えられているといっても過言ではありません。

その物流が途絶えないよう、このような航行ルールを守って、船は安全を確保して行き来しているのです。

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