トヨタが世界に先駆けて開発したハイブリッドカーの量産車、プリウスを世に送り出してから20年近くが経過しました。
近未来的な内外装のデザインが、多くの人の目を惹きつけ、電気モーターとガソリンという2つの動力源を持つ、全く新しいシステムのクルマということで、多くの人の関心を呼びました。
詳しいことがわからない人でも、今までにはない新しい未来的なクルマが登場したのだ、というインパクトがあったことでしょう。
割高だった創成期
しかし、今でこそ日本中どこでも走っているハイブリッドカーですが、最初にプリウスが登場したときは感心は高かったものの、今の様に爆発的に売れることはなく、まだ多くの人が様子見の状態でした。
一つの理由として、価格が割高だったということがありました。
同じ1500ccのエンジンを搭載するカローラーと比べて、100万円近くも高い価格設定でしたので無理もありません。
しかし、開発費や高額なバッテリー代など、ハイブリッドシステムにかかる費用を考慮すると、トヨタとしてはプリウスの販売価格は、利益度外視の激安価格を提示していたのでした。
ハイブリッドカーが当たり前に
初代プリウスが登場してから月日は流れ、今や4代目となりました。
モデルチェンジが行われる度に完成度を上げ、4代目では燃費の良さだけでなく、走りの質にも磨きがかかりました。
斬新なデザインに賛否が分かれているようですが、動力性能や乗り心地など走行性能においては、すべての点で初代とは比べ物にならないくらいに進化しています。
さて、ハイブリッドカーの先駆者として、プリウスの存在感は今もなお健在ですが、他のメーカーも含めて、その後も新しいハイブリッドカーが次々に登場しています。
この背景には、ガソリン代の高騰と、国がエコカー減税や補助金制度の導入など、力強く購買を後押ししたことが、大きく影響していると言えるでしょう。
ガソリン車との価格差は小さくなり、維持費を少しでも安く抑えることができるということは大きな魅力です。
独特の運転法が必要
ところで、ハイブリッドカーは、誰が運転してもある程度の低燃費走行を行うことができますが、カタログの数字に近づける、あるいはそれ以上の燃費性能を引き出すためには、通常のガソリン車とは異なる独特の運転法が必要になります。
通常のガソリン車の場合、アクセル開度を一定にすることで、ガソリンの消費量を抑えることができますが、ハイブリッドカーの場合重要になってくるのは、いかにエンジンではなくガソリンを消費しない電気モーターを多く使って、走行するかにかかっています。
そのため、多少深くアクセルを踏み込んでも、一定の速度まで早く引き上げ、その後は電気モーターを使って走行する、という運転の仕方を心掛けることが大切です。
ゆったりとした走行であっても、だらだらとエンジンを使うと、思ったほど燃費が良くなりません。
ただ、問題が一つあります。
それは、電気モーターを使うと、バッテリーが減ってしまうということです。
そのため、バッテリーを効果的に充電しつつ、電気モーターを使っていくことが、大切になってきます。
電気モーターが充電される仕組みは、各メーカーのハイブリッドシステムによって異なるのですが、たとえばトヨタであれば、ブレーキを踏んでいるときやエンジンを使って走行しているときに充電されます。
また、アクセルを離して坂道を下っているときなどにも、充電されます。
これに対して 「e-POWER」と呼ばれる日産のシステムは画期的で、エンジンは動力源には使わず、バッテリーを充電するためにのみ使います。
そのため、電気自動車に近いハイブリッドカーと言えます。
ハイブリッドカーよりも電気自動車の開発に力を注いできた、日産らしいシステムと言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたか。
ハイブリッドカーは、将来的には電気自動車に移行するための、過渡期的なシステムと言われていますが、F1やル・マン24などのカーレースでも、現在の主役はハイブリッドシステムです。
そう考えると、電気自動車が主役の座に躍り出るのは、もう少し先になることでしょう。