去年の暮れに、小脳出血後遺症で自宅療養していた父が、今度は左視床出血で入院しました。
私は看護師なので、入院中の父の付き添いをしている時の話をしながら、家族に何が出来るのかを話していきます。
患者への家族の声掛けは大切
父は朝方、脱衣所で動けなくなっていました。
とても寒い朝で、母は亡くなっていると思ったほどでした。
父の入院も数回経験している母は、救急に連絡し、飲んでいたお薬も持参し、入院の準備も万端で、しっかり娘の私たちも起こして病院へ行きました。
入院時は、病院に任すしかありません。
検査して説明を聞き、入院するお部屋に案内されました。
父は酸素吸入と心電図モニター・バルンカテーテルが挿入されていました。
まず、家族が患者の元に案内されてすることは、本人への声掛けです。
父は話せませんでしたが、耳は聞こえているようです。
例え意識がなくても、患者への家族の声掛けは大切になってきます。
耳の機能は、最後まで残ると言われています。
入院してお部屋に案内されたら、必ず声掛けを忘れないようにしましょう。
家族の声掛けは、患者を元気にしてくれるでしょう。
入院中の家族の知っておきたいこと
ご家族が入院すると、生活は一変します。
特に家族の緊急入院では、初めての事が沢山あります。
病院には、ソーシャルワーカーさんがいらっしゃいますので、解らないことは質問をしましょう。
入退院を繰り返していると、入院から退院までの流れが大体わかります。
患者の経過を観て落ち着いたら、退院を進められることを知っておきましょう。
救急病院は、救急病院の使命があります。
病状が落ち着いたら、自宅へ帰れるのか、リハビリ病院に行くのかなど、時期がくれば説明のあることを、覚悟しておきましょう。
入院中の家族の在り方
ご家族が入院中は、少しでも患者の元へ足を運んであげてください。
患者に意識があるなら、なおさらのことです。
意識がなくても、そばにいてあげるほうが良いでしょう。
しかし、患者とご家族との関係によるかもしれませんが、24時間付きそう事は、あまりおすすめできません。
特に高齢者の場合、付き添いが原因で十分な睡眠がとれなくなり、体力を消耗してします。
また、ずっと座っていることが原因で、エコノミー症候群になり、脳梗塞や心筋梗塞をおこす可能性も出てきます。
無理はいけませんが、なるべく患者さんの元へ足を運ぶ努力をしましょう。
付き添っている時に出来る事
入院中、看護師が、日常生活の援助や、下のお世話をしてくれます。
しかし、看護師さんも多くの患者様を抱えています。
入院当初は、とにかく声をかける、手を握って、たわいもない話をする程度で良いでしょう。患者様も急性期なので、傍で見守ってあげてください。
入院中のお見舞い
急性期のお見舞いはお断りしましょう。
症状が落ち着いたら、お見舞いを受けるほうが患者様の為にもなります。
状態が落ち着いたら家族に出来ること
入院も2~3日したら、お風呂も入れないので手足が乾燥して垢がたまってきます。
病院のスタッフも清拭してくれていますが、手のひらの汗のにおい、足の水虫、頭部のふけのチェックをして、家族が拭いてあげるのも良いでしょう。
手足の指の間には垢がたまりやすいので、気を付けて観察してください。
顔は、吸引をしていたら、特に涙が出やすく、眼脂もたまりがちです。時々濡らした熱いタオルで、顔を拭いてあげてください。
眼は、中側から外側に向かって拭いて、二度拭きをしてはいけません。
後は、小鼻には油がたまりやすいので丁寧に拭いてください。
頭部はシャンプーがなかなか出来ないですが、熱いタオルで拭くだけでも本人は気持ちが良いものです。
耳の裏側によく垢がたまっていますから、耳の後ろも丁寧に拭いてあげましょう。
スキンケアの後は、保湿してあげてください。
皮膚はお風呂に入らないと、カサカサになります。いつも使っているものがあれば家から持ってきたり、保湿軟膏やクリームを塗ってあげると、落屑も少なくなります。
歯ブラシ・髭剃りを忘れずに
入院して忘れがちなのは、歯ブラシ・入れ歯・髭剃りです。
自宅で使っていた髭剃り機があれば、家族でも剃ってあげられます。
食べられなくても、訓練時に入れ歯を入れたりします。入れ歯を洗う歯ブラシや、洗面器、スポンジブラシ(必要時購入)も用意しましょう。
意識が無い時は、お口のケアはご家族には難しいかもしれません。出来そうなら、濡れたガーゼでお口の中を拭いてあげるのも良いでしょう。
口腔の清潔は、健康に直結します。観察して、自分の出来る範囲内で綺麗にしてあげましょう。
まとめ
いかがでしたか。
ご家族が入院して、色々大変ですが、入院したからとご家族がなんにも出来ないわけではありません。
大切な事は、患者に寄り添い、家族として、自分に何が出来るのかを考え、出来る事は、一つでも実行していきましょう。
どんなに家族に偉そうに言う患者様でも、ご家族が帰られた後は寂しそうです。
患者は家族を待っているという事を、知っておきましょう。