日常でよく見かけはしますが、じっくり観察することはなさそうなアイテムのひとつであると
思われる「ガードレール」。
「ガードレール」にも、それぞれ役割や種類の違いがあります。
そんなガードレールの真実に迫ります。
そもそも「ガードレール」とは?
車両の逸脱の防止等を目的として設けられる「車両用防護柵」の一種であり、一般的には道路に埋め込まれた支柱に、ビーム(波型の鋼板)が取り付けられた構造をしています。
「防護柵」の種類は下記の通りとなっており、ガードレールとは防護柵の中のひとつの種類となります。
「車両用防護柵」の種類は?
ガードレール
出典:鋼製防護柵協会
適度な剛性とじん性を有する波形断面のビーム(波型の板)と、支柱により構成しています。
ビーム(波型の板)と支柱が衝撃による衝撃で変形し、車両が路外へ逸脱するのを防ぎます。
ガードパイプ
出典:鋼製防護柵協会
適度な剛性とじん性を有する複数のパイプビームと、支柱で構成しています。
パイプと支柱が衝突による衝撃で変形し、車両が路外へ逸脱するのを防ぎます。
ガードケーブル
出典:鋼製防護柵協会
弾性域内で働く複数のケーブルと、適度な剛性・じん性を有する支柱で構成しています。
ケーブルの張りと支柱が衝突による衝撃で変形し、車両が路外へ逸脱するのを防ぎます。
展望性に優れており、山間部などでは、着雪を防ぐ目的としても用いられます。
ボックスビーム
出典:鋼製防護柵協会
高い剛性とじん性を有する1本の角形パイプのビーム(角形鋼管)と、支柱により構成しています。
表裏がないため、狭い中央分離帯用として使用できます。
車両衝突時の衝撃に対して、主にビームの強度で衝撃を吸収し車両を守ります。
ガードレールの種類は?
出典:鋼製防護柵協会
ガードレールの規格は、強度ごとにSS、SA、SB、SC、A、B、Cの7 種類があります。
これらの強度は、衝突時のスピードである衝突速度によって分類され、そのエリアの必要性に見合う強度のガードレールを設置します。
また、規格によってガードレールの重さは変わります。
例えば、分離帯用ガードレールの最強度SS規格は1mあたり78.2kgですが、路肩用ガードレールのC規格は、1mあたり16.0kgです。
ガードレールの施工方法は?
出典:鋼製防護柵協会
地面に柱を打ち込み、ビームなどの部品を組立てます。
ガードレールの柱は専用の機械(支柱打ち込み機)で地面に打ち込みます。
柱が打ち込み終わった後に、ブラケット、ビームを組立てていきます。
左側通行の日本では、走行中の車両にとって、左側のガードレールは事故・接触の可能性が反対車線のガードレールよりも高くなります。
車両進行方向左側にあるガードレールは、【図1】の通り、手前のレールを奥のレールの上に被せるように設置します。
逆に【図2】のように、奥のレールが手前のレールに被さった状態だと、万が一の時に奥のレールが開き、重ね部分の口が開いて損傷が大きくなるからです。
支柱の長さは?
支柱は露出している部分よりずっと長く、地中に埋まっています。
露出部分の長さは70cmに対し、地中に埋っている長さ(根入れ長)は1m40cmとなります。
昨今、ガードレールなどの支柱の長さが、設計よりも短い施工不良が相次いで見つかり、さまざまな問題を抱えていることが明らかになっています。
出典:鋼製防護柵協会
まとめ
いかがでしたか。
普段ほとんど意識しないガードレールにも、いろんな工夫や種類があるのですね。
ドライバーのみなさん、ガードレールの役割も知ったうえで、より安全な運転を心がけましょうね。