テレビでよく見る刑事ドラマ。
大体のドラマは、犯人が判明して逮捕できたら、エンドロールが流れてドラマのエンディングを迎えるのが殆どではないでしょうか?
ドラマはその時点で終わってしまいますが、実際のところ、その後はどうなるのでしょうか。
刑事は逮捕してからの方が忙しい
現実はどうなのかと言うと、刑事は逮捕してからの方がむしろ忙しくなります。
日本の法律では、犯人を逮捕してから48時間以内に、検察に身柄と共に送致しなければなりません。
よく、ニュースで「送検された」という言葉が使われていますが、正式な用語では「送致」とか「身柄付送致」というのが正解です。
48時間以内に送致が出来なければ、第一次捜査機関である警察は、被疑者を釈放しなければなりません。
どんな悪質な重大事件の犯人であっても、48時間のリミットを過ぎてしまえば、釈放となってしまうことから、警察は絶対にそんなことにならないように必死に仕事をします。
ですので、送致の期限が来るまでに捜査書類を取り揃える必要があり、刑事はドラマのように犯人逮捕後に悠長に逮捕できた感動の余韻に浸っている場合ではありません。
とにかく書類を仕上げるまで、「寝ずの48時間」を過ごさねばならないのです。
逮捕の要件
そもそも、逮捕するには必要な条件があります。
一つ目は「犯人が逃走する恐れがあること」、二つ目は「犯人が罪証隠滅する恐れがあること」です。
この二つのいずれかに該当する場合は、逮捕の必要があるため、犯人は逮捕されます。
一般的に大きな事件、例えば殺人事件等は当然、重罪が故に、犯人が逃走する恐れがあることは明白なため、逮捕されることとなります。
よく交通事故で人と接触し、被害者は怪我をしたけれど、犯人はその場から逃走し、後日に捕まったという事件が話題になったりしますが、これも一度現場を逃走している時点で、逃走の恐れ有りとみなされ、逮捕されることが殆どです。
また、組織的な集団での犯行の場合は、犯人が複数人いることから逮捕しなければ証拠が隠されたり滅失させられたりするほか、口裏を合わせて取り調べ等で嘘を言われて捜査の目的である真相究明が困難となることから、犯人を逮捕しなければなりません。
送致後の勾留
警察が第一次捜査機関ですが、送致後の検察は第二次捜査機関という事になります。
検察は、警察で捜査した書類を見つつ、送致された犯人の取調べを行って、裁判官に引き続き身柄を拘束すべきかどうか判断します。
拘束しない場合はそこですぐに釈放となり、以後は在宅事件として捜査を継続します。
拘束すべきと判断した場合は、24時間以内に検察官から裁判官に対して勾留を請求します。
裁判官が勾留を許可すれば勾留許可状が発付され、これに基づいて最大10日間、犯人は引き続き身柄を拘束されることとなります。
この10日間の間に、警察と検察が協力し合いながら、犯人が「間違いない犯人」であるとの証拠を固めるため、捜査を進めていくこととなります。
捜査後の検察の判断
10日間でも捜査が終了できない場合は、更に10日間の勾留延長の請求を検察官が裁判官に行います。
こうして、計20日間の中で警察と検察は捜査を行うこととなるため、犯人を公訴提起するまでには短期間ですから、刑事は相当大変なわけです。
ちなみに、捜査の結果、犯人を裁判にかけるべきか、つまり「公訴を提起するか否か」を決定できるのは検察官にのみ与えられた権限です。
このため、公訴に堪えられるほどの証拠が揃わなかった場合や、明らかに被害も小さい事件だったような場合、元々犯人ではないことが判明したりした場合は、起訴猶予や嫌疑不十分、「罪とならず」といった判断を下すこととなります。
勾留中の犯人の生活と接見禁止
一方、逮捕された犯人はと言うと、一度逮捕されて送致後、仮に勾留となった場合、勾留中は留置場という、警察署の中にある施設に収容されることとなり、警察官の監視の下生活を余儀なくされます。
もちろん、携帯電話を使用することもできませんから、家族や知人との面談も、面会のみでしか会うことが出来なくなります。
また、勾留許可状には条件が付けられることがあり、接見禁止というものが付いた場合は、いくら家族であっても面会すら許されなくなります。
接見禁止は、前述の組織的な犯罪ではよくあることです。
最初の犯人を逮捕しても、捜査で未把握の事件に関与した犯人が実は潜伏していて、逮捕できていない場合、逮捕した犯人に接見禁止を掛けておかないと、真犯人が面会を希望して来て逮捕された犯人に入れ知恵したり、証拠を隠滅するように謀られる事態を防ぐためなのです。
まとめ
いかがでしたか。