現在、お笑いは全体的に下火となっていますが、落語だけは何故か、定期的にブームが訪れています。
しかも、その中心になっているのは若者なのです。
火付け役と言われているのが、漫画を原作とするアニメ『昭和元禄落語心中』の大ヒット。
落語は、お笑いと言うジャンルにも属していますが、コントなどとは違い、客側にもある程度の知識を求められる特殊なものです。
知識があって初めて、笑えて感動できる物語ばかりです。
今回は、そんな落語をご紹介します。
落語とは
落語と聞くと、ぼんやりとはイメージが付く方が多いでしょうが、深く知っている方は少ないと思います。
落語は、演者がナレーターから登場人物の演技まで、全て一人で言葉だけで表現してしまう伝統芸能です。
使う道具は基本、扇子と手ぬぐいだけで、お客さんにイメージさせて楽しませます。
和服を着た人が、座布団の上で話しをしているだけですが、聞き入っているお客さんの目には、登場人物の姿がありありと目に浮かび、人々の息遣いが聞こえてくるような臨場感が生まれてきます。
その話の中では、色んな役をこなします。
陽気な商人、頑固な大工、世間知らずのお嬢様、偉そうなお殿様、頼りない医者、間抜けな泥棒、おせっかいな警察、果ては話題の政治家まで、口調や仕草だけで演じ分けます。
基本は、古典というベースの話があるのですが、これを落語家自身がアレンジを加えていくので、いざ聞いてみると、同じ話でも全く違った話に聞こえることもあります。
また、落語というと、笑える話が多いと思われると思います。
実際、その話が一番多いですが、中には怪談噺(かいだんばなし)という怖い話や、人情噺(にんじょうばなし)という感動ものの話もあり、落語家によって得意分野も異なるので、これもまた違いを楽しめる要素となっています。
落語の歴史
落語が誕生したのは、江戸時代だといわれています。
「落語」という名称が定着したのは明治時代とされ、伝統文化としては比較的新しい部類に入ります。
しかし、落語に出てくる話は、「竹取物語」や「古今和歌集」などの平安時代や、鎌倉時代の逸話をモデルにしているため、全く新しい文化とも言えません。
古今亭菊之丞師匠独演会。#古今亭菊之丞 #落語 pic.twitter.com/Ksl6fShpa4
— ♞Awin (@Awincoltd) 2019年5月15日
おまけに話のモデルは、日本だけでなく、中国や朝鮮、インドの話をモデルにしたという凄いものもあります。
現代では、新作落語という、全く新しい話も作られています。
その中では、カラオケやストレスといった外来語も登場しますし、話に外国人留学生が登場するなど、落語も時代に合わせて日々進化を続けています。
落語と「笑点」の関係
笑点という長寿番組がありますが、あれが落語と思われる方も、若い方では結構いらっしゃいます。
あれは、厳密には「大喜利」という別の形の伝統的な芸能で、落語とは違います。
ただ、出演陣は紛れもなく落語家達です。
しかも、その中でも、とても腕のある落語家たちが集結しています。
笑点で名前が売れれば、仕事の量が格段に増えるため、落語家達の中には笑点への出演に向けて頑張っている方もいらっしゃるそうです。
落語の楽しみ方
「落語を見る」というのは、敷居が高いことのように思えますが、決してそんなことはありません。
映画を見に行くのと同じです。
まず、「どこの演芸場で、いつ落語をしているのか」を調べて、当日会場に行って、現地でチケットを買います。
ただ、人気のある落語家だと、すぐに売り切れてしまうので、ネットの予約を活用された方が良いと思います。
さて、次はどの落語家の話を見た方が良いか、という問題ですが、これは自分との相性もあるので、なんとも言えません。
直感で選ばれて、大丈夫だと思います。
もし、その落語家が合わないと思ったら、別の落語家を見るという手もあります。
また、落語が聞ける場所がどんどん増えており、「渋谷らくご」などの初心者向けの落語会や、落語を聞きながらお茶や食事ができる「らくごカフェ」など、首都圏では月に1,000件を超える落語会が開催されています。
もし、演芸場まで行く勇気がない場合は、レンタルビデオ店で、落語のDVDやCDをレンタルすることができます。
CDの場合、映像はありませんが、うまい落語家は、音だけでお客さんを想像させてしまいます。
或いは、YouTubeで視聴することもできますので、意外と落語に触れることは容易です。
まとめ
いかがでしたか。
今のお笑い界を批判する訳ではありませんが、ただバカ騒ぎするだけでは嫌気がさした人は、落語に興味を持たれるのではないでしょうか。
もし、あなたが今のお笑いに満足されていないのでしたら、一度、落語の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?